28卒の採用活動は、もうすでに始まっています。
「広報解禁の3月になったら動き出せばいい」と考えている採用担当者ほど、気づいたときには手遅れになっているのが近年の実態です。
本記事では、28卒採用のスケジュール全体像を企業側の視点で整理しつつ、人手不足の中小企業がスケジュール通りに動くために押さえておくべきポイントを解説します。
そもそも28卒って何年生?スケジュールの全体像

採用計画を立てる前に、まず「28卒」の定義と基本スケジュールの骨格を確認しましょう。
当たり前に見えて意外と見落としやすい前提ですが、ここがずれると準備のタイミングも狂ってきます。
28卒の定義と対象学年
28卒とは、2028年3月までに大学卒業または大学院修了を予定している学生を指します。
2026年4月時点での学年でいえば、学部3年生・修士1年生がメインターゲットです。
採用担当者の感覚では「まだ先の話」と思いがちですが、この学年の学生はすでに就職活動の情報収集を始めています。
政府推奨スケジュールの基本ライン
政府が推奨する就活ルールでは、広報解禁が2027年3月1日、選考解禁が6月1日、内定解禁が10月1日とされています。
ただし、このルールに法的拘束力はありません。
実態として、多くの企業がこの日程を待たずに採用活動を進めており、「政府推奨スケジュールに沿って動くこと」自体がリスクになりつつあります。
【表①】28卒採用スケジュール早見表
以下に、28卒採用における企業側の行動スケジュールの目安をまとめました。
自社の現状と照らし合わせながら確認してみてください。
| 時期 | 企業側の主な動き |
|---|---|
| 2025年秋〜冬 | 採用戦略の立案・社内体制の整備・インターン企画の準備 |
| 2026年春〜夏 | サマーインターンの告知・実施・スカウト送信・採用広報の整備 |
| 2026年秋〜冬 | 冬インターン・早期選考の実施・候補者との継続的な関係構築 |
| 2027年3月〜 | 広報解禁・会社説明会・本選考の本格化 |
| 2027年6月〜 | 選考解禁・内定出し・内定者フォローの開始 |
広報解禁を待つともう手遅れ
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採用市場の早期化は年々加速しており、「3月になってから動き出す」企業は構造的に不利な立場に置かれています。
学生と企業、双方の行動変化を把握しておくことが、スケジュール設計の第一歩です。
学生の動き出しは大学2年から
近年の調査では、就職活動を大学2年生のうちから始める学生が約半数に達しています。
SNSや口コミサイトを通じて企業文化や働き方を比較する動きが活発化しており、学生はすでに「志望企業候補」を絞り込み始めています。
広報解禁後に初めて自社を知ってもらおうとしても、学生の認知形成は終わっているのが現実です。
企業の8割が3月前に選考開始
実態として、企業の8割近くが広報解禁とされる3月1日よりも前に一次選考を開始しています。
さらに、4割以上の企業が年内(前年12月まで)に最終選考を終え、内定を出しています。
つまり、6月の選考解禁を待っていると、志望度の高い学生はすでに他社で内定を承諾済みという状況が起きやすくなっています。
インターンが「選考の入口」になった背景
2025年卒から、一定の条件を満たすインターンシップで得た学生情報を採用選考に活用できるようになりました。
これにより、インターンシップは「企業理解の場」から「採用直結の入口」へと性格が変わりつつあります。
学生のインターン参加率は9割を超えており、参加社数も平均8社以上にのぼります。
インターンに参加した学生に対して早期選考枠を設ける企業が増えているため、夏・冬のインターン設計が採用成否を左右するといっても過言ではありません。
中小企業が直面する「3つの壁」

採用市場の早期化は理解していても、中小企業には「分かっていても動けない」固有の課題があります。
大手企業のように専任チームや潤沢なリソースがない中で、どこに壁が生じやすいかを整理します。
採用担当1人体制の限界
多くの中小企業では、採用担当者が1人で全工程を兼務しています。
スカウト送信・日程調整・説明会準備・候補者対応・内定者フォローを同時並行で回すことは、現実的に限界があります。
結果として、対応スピードが落ちて学生の離脱を招いたり、フォローが後回しになって内定辞退が増えるという悪循環に陥りがちです。
インターン・コンテンツ設計のノウハウ不足
インターンを実施したいと思っていても、「学生が参加したくなるプログラム」をゼロから設計するノウハウが社内に蓄積されていないケースは少なくありません。
採用広報についても、求人票の文面やスカウトメッセージが「企業側の言いたいこと」になっていて、学生目線が抜け落ちていることが多くあります。
コンテンツの質が低いままスカウトを大量送信しても、返信率は上がらず工数だけが消えていきます。
内定者フォロー後回しによる辞退増加
採用活動の繁忙期と内定者フォローの時期が重なることで、フォローが形骸化してしまうのは中小企業に多い構造的な問題です。
内定を出した後も、学生は他社との比較検討を続けています。
定期的な連絡や個別面談がなければ、入社意欲は少しずつ低下し、最終的な辞退につながります。
フェーズ別にやるべきことを整理する

28卒採用の全体像を把握したうえで、各時期に何を優先すべきかを具体的に整理します。
「やること」を明確にしておくことで、限られたリソースを適切に配分できるようになります。
2025年秋〜冬|戦略設計と社内体制
まず取り組むべきは、採用ターゲットの言語化と採用チャネルの選定です。
「どんな学生に来てほしいか」をスペックだけでなく、価値観・志向性まで含めて言語化することで、その後のスカウト文面や説明会コンテンツの質が変わります。
併せて、面接官となる社員のアサインや社内協力体制の整備をこの時期に済ませておくことが重要です。
2026年春〜夏|インターンと母集団形成
サマーインターンの告知・実施がこの時期の最優先事項です。
学生が参加したくなるプログラム設計と、学生目線で書かれたスカウト文面が母集団形成を左右します。
また、採用サイトや会社紹介コンテンツの整備もこの時期までに終えておきたいところです。
2026年秋〜冬|早期選考と関係構築
インターン参加者への早期選考案内を行い、志望度の高い学生との接点を継続的に維持します。
冬インターンを実施することで、夏に参加できなかった学生へのアプローチも可能になります。
この時期に一定数の内定候補者を確保できているかどうかが、春以降の採用活動の余裕度を大きく変えます。
2027年3月以降|本選考・内定者フォロー
広報解禁後は説明会・本選考が本格化し、エントリー数や歩留まりの管理が必要になります。
内定を出した学生に対しては、承諾までのフォロー体制を事前に設計しておくことが欠かせません。
個別面談や懇親イベントを通じて学生の不安を解消し、内定辞退を防ぐ仕組みをあらかじめ組み込んでおきましょう。
スケジュールを組む前に見直したい3つのポイント

スケジュール通りに動くことは大前提ですが、それだけでは採用成功には繋がりません。
多くの企業が見落としがちな視点を3つ取り上げます。
「学生に響くか」の検証
スケジュール通りにスカウトを送っても、文面が企業側の言いたいことだけで書かれていれば返信率は上がりません。
「なぜこの学生に声をかけているのか」「入社後どんな経験ができるのか」という学生目線の問いに答えられているかを常に検証する必要があります。
採用広報全体を通じて「学生に響くか」を問い続けることが、母集団形成の質を左右します。
内定者フォローをスケジュールに組み込む
内定者フォローは「余裕があればやる」ではなく、採用スケジュールの一部として最初から設計することが重要です。
内定通知後・1週間後・1か月後といった節目ごとに接触タイミングを定め、個別フォローの質を均一に保つ仕組みを作りましょう。
テンプレート的な一斉連絡は学生に「量産感」を与え、逆効果になる場合もあります。
外部リソースの活用という選択肢
採用担当者1人で全工程をこなすことが難しい場合、一部を外部に委ねるという判断は合理的な選択です。
スカウト文面の作成・インターン企画・内定者フォローなど、特に「学生目線が必要な業務」は、現役学生が関わるサービスへの外注が効果的です。
採用活動のどこに自社のリソースを集中させるかを設計することが、限られた体制で成果を出すための鍵になります。
企業側の新卒採用スケジュールに関するよくある質問
- Q28卒採用はいつから始めるべき?
- A
理想は2025年秋からの戦略設計です。
少なくとも、2026年春のサマーインターン告知には間に合うよう、2026年2〜3月には採用ターゲットの設定と媒体選定を終えておく必要があります。
「まだ早い」と感じるタイミングに動き出すことが、採用成功の前提条件になっています。
- Qインターンは必ず必要?
- A
法的義務ではありませんが、早期に学生と接点を持つ手段としてインターンシップの有効性は高まっています。
特に知名度が限られる中小企業にとっては、学生に直接自社を体験してもらえるインターンは重要な差別化の機会です。
1dayの短期プログラムから始めるだけでも、母集団形成への効果は見込めます。
- Q担当1人でも回せる?
- A
全工程を1人で抱えることは現実的に難しく、どこかに無理が生じます。
対応策として、①社内の他部門を巻き込む、②採用代行などの外部サービスを活用する、③スコープを絞って注力する、の3つのアプローチが考えられます。
完璧にやろうとするよりも、重要度の高い工程に集中できる体制を作ることが先決です。
まとめ

28卒採用において、スケジュールの早期化は前提条件であり、差別化の要因にはなりません。
重要なのは、いつ・何を・誰がやるかを事前に設計し、学生目線での接点づくりと内定者フォローまでを一貫して回せる体制を整えることです。
特に中小企業の採用担当者にとっては、全工程を1人で抱え込まず、外部リソースをどこに活用するかという視点が採用成功の分水嶺になります。
採用スケジュールを今一度見直し、「設計の質」から採用活動を立て直してみてください。