人材紹介を免許なしで行っても問題ないのか、違法になるケースはどこからなのか、などといった悩みをお持ちの方もいるのではないでしょうか。
副業や個人での活動、知人紹介やSNS経由のマッチングなど、人材紹介に関わる形は年々多様化しています。
その一方で、「手数料をもらわなければ大丈夫」「単発なら問題ない」といった誤解も少なくありません。
本記事では、有料職業紹介事業の考え方を踏まえつつ、免許が必要なケース・不要なケースを整理していきます。
人材紹介とは何か?

人材紹介とは、企業と求職者の雇用を成立させることを目的に、両者を結びつける事業です。
単なる情報提供にとどまらず、マッチングや調整に一定程度関与する点が特徴です。
人材紹介業の基本的な仕組み
人材紹介業では、紹介事業者が企業から求人条件を受け取り、それに合致する求職者を探して紹介します。求職者が企業と直接雇用契約を結ぶ点が、派遣など他の人材サービスとの大きな違いです。
紹介事業者は、採用が決定した段階で企業から紹介手数料を受け取るのが一般的で、求職者から費用を徴収することは原則ありません。
このように、雇用の当事者にはならず、あくまで仲介者としての立ち位置になっています。
人材紹介が免許制になっている理由
人材紹介は、求職者の職業選択や生活に大きな影響を与える行為であるため、無秩序な参入や不適切な運営を防ぐ必要があります。
職業安定法では、人材紹介を行う事業について一定の基準を設け、国の許可を受けた事業者のみが有料で行える仕組みとしています。
これは、求職者保護と労働市場の健全性を維持することが目的です。
人材紹介業に免許が必要になる判断基準

人材紹介に該当するかどうかは、名称や形式ではなく、実際の事業内容によって判断されます。
表面的なビジネスモデルだけで判断すると、意図せず違法となる可能性があります。
有料職業紹介事業と無料職業紹介事業の違い
有料職業紹介事業とは、職業紹介に関して手数料や報酬などの対価を受け取って行う事業を指します。一般的に民間の人材紹介会社は、この区分に該当します。
一方で、ハローワークや大学のキャリアセンターのように、いかなる名目でも対価を受け取らずに行うものは無料職業紹介事業とされます。
両者は、収益構造の有無という点で区別されています。
「報酬の有無」だけでは判断できない
人材紹介に該当するかどうかは、単に報酬を受け取っているかどうかで決まるわけではありません。
たとえ直接的な紹介手数料を受け取っていなくても、実質的に紹介行為とされる場合があります。
広告費や業務委託費など、別の名目であっても、紹介の対価と判断される可能性があるため注意が必要です。
事業内容で判断される
最終的な判断基準は、企業と求職者の間にどの程度関与しているかという点です。
条件のすり合わせや意思決定に深く関与している場合、人材紹介とみなされる可能性が高くなります。
サービスの名称や契約書上の表現よりも、実態が重視される点は、事業設計を行う上で重要なポイントです。
人材紹介を免許なしで行うとどうなるのか

有料で人材紹介を行う事業は、原則として職業安定法に基づく許可が必要とされています。
知らなかったでは済まされない点も多いため、事前の理解が不可欠です。
人材紹介業は原則「免許制」である
職業安定法により、有料で人材紹介を行う場合は、厚生労働大臣の許可を受ける必要があります。
この許可を受けていない状態で事業を行うことは、法律違反となります。
個人・法人の別や、事業規模の大小にかかわらず、この原則は共通です。
無許可で行った場合に想定されるリスク
無許可で人材紹介を行った場合、行政指導や業務停止命令の対象となる可能性があり、悪質なケースでは罰則が適用されることもあります。
また、取引先企業からの信用を失うリスクも無視できません。
特に、後から人材紹介に該当すると判断された場合、事業継続が困難になるといったリスクもあります。
免許が必要になる典型的なケース
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どのような場合に免許が必要になるのか、具体的なケースを把握しておくことで、判断ミスを防ぐことができます。
人材を紹介して報酬を受け取る場合
企業に人材を紹介し、その採用結果に応じて報酬を受け取る場合は、典型的な有料職業紹介事業に該当します。これは最も分かりやすく免許が必要になる場合です。
紹介手数料という名称でなくても、成果に紐づいた対価が発生していれば免許が必要になります。
業務委託人材を企業にあっせんする場合
業務委託契約の人材であっても、企業との契約締結をあっせんし、対価を得ている場合は注意が必要です。
形式上は業務委託でも、実態として紹介行為と判断される可能性があります。
雇用契約でないからといって、免許が不要なわけではありません。
免許なしでも問題にならないケース

すべてのマッチング行為が人材紹介に該当するわけではありません。
一定の条件下では、免許なしでも問題とならないケースがあります。
リファラル採用は原則OK
自社の社員が知人を紹介するリファラル採用は、金銭的対価を目的としない範囲にとどまる限り、一般的には職業紹介事業には該当しないと整理されています。
これは、営利目的の職業紹介とは異なるためです。
ただし、外部の第三者が介在し、報酬を得る形になると状況が変わります。
求人マッチングサイトで許容される範囲内のケース
求人情報と求職者情報を掲載するだけのマッチングサイトは、一定の条件下では人材紹介に該当しないとされています。
重要なのは、事業者が採用判断や条件調整に関与しないことです。
あくまで場の提供にとどまっているかどうかが判断のポイントになります。
「情報提供」にとどまっているケース
求人情報や業界情報を提供するだけで、個別のマッチングや仲介を行わない場合は、人材紹介には該当しません。
情報提供と紹介行為の線引きを意識したサービス設計が重要です。
免許なしで求人マッチングサービスを行う際の注意点

免許不要の範囲でサービスを運営する場合でも、運営方法によっては紹介行為と判断される可能性があります。
求人情報・求職者情報の作成時に関与度
事業者が主体となって求人内容や求職者のプロフィールを作成すると、関与度が高いと判断されやすくなります。
あくまで企業や求職者自身が情報を入力する形にとどめる必要があります。
企業と求職者の意思疎通に介在してはいけない
面談調整や条件交渉など、意思疎通に直接関与すると、人材紹介と評価されるリスクが高まります。
連絡手段の提供にとどめ、内容には立ち入らない設計が求められます。
関与度合いが高まると紹介行為に該当する
サービス改善のつもりで関与を深めた結果、紹介行為と判断されるケースもあります。
どこまでが許容範囲なのかを常に意識することが重要です。
無許可の人材紹介で起こりやすい違法行為

無許可での人材紹介では、意図せず違法行為に該当してしまうケースが少なくありません。
免許を持たない個人・法人による紹介行為
副業や小規模事業として始めた場合でも、紹介行為に該当すれば違法となります。
規模の大小は免責理由にはなりません。
業務委託名目での実質的な人材紹介
業務委託という形式を取っていても、実態が人材紹介であれば問題になります。
契約書の文言よりも、実際の運用が重視されます。
手数料の中抜き・キックバック
紹介に関連して不透明な金銭のやり取りがあると、法令違反と判断されるリスクが高まります。
報酬構造の透明性も重要なポイントです。
人材紹介は副業・個人でも免許取得できる
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人材紹介業は、大手企業だけのものではありません。近年は個人での参入も増えています。
個人で免許取得を検討する人が増えている背景
専門性を活かしたマッチングニーズの高まりにより、個人でも人材紹介を行うケースが増えています。
副業や独立を視野に入れた動きも背景にあります。
副業でも有料職業紹介事業許可は取得可能
副業であっても、要件を満たせば有料職業紹介事業の許可を取得することは可能です。
事業形態よりも、基準を満たしているかが重視されます。
免許取得を検討すべき判断タイミング
継続的にマッチングを行い、収益化を考え始めた段階が一つの判断基準になります。
後から取得するより、早めに検討し、免許を取得しておく方がリスクを抑えられます。
人材紹介業の免許を取得する方法

免許取得には、一定の要件と手続きが必要です。全体像を把握しておきましょう。
免許取得に必要な主な要件
事務所要件や財産的基礎など、複数の要件が定められています。
これらを満たしていない場合、申請は受理されません。
取得までの大まかな流れと期間
申請書類の準備から審査、許可までには一定の期間がかかります。
余裕を持ったスケジュール設計をしましょう。
まず確認しておくべき準備事項
事業内容が人材紹介に該当するかどうかを整理することが第一歩です。その上で、要件を満たせるかを確認する必要があります。
免許を取らない場合の現実的な選択肢

免許取得が難しい場合でも、完全に選択肢がなくなるわけではありません。
免許不要の範囲でビジネス設計をする
情報提供型や広告モデルなど、免許不要の範囲で事業を設計する方法があります。
線引きを明確にし、決められた範囲内で事業を設計することが重要です。
免許取得を前提に段階的に進める
まずは免許不要の形で始め、将来的に取得を目指すという選択肢もあります。段階的な設計はリスク管理の一つともいえます。
まとめ
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人材紹介業は、事業内容によっては免許が必須となる分野です。
「知らなかった」では済まされないため、制度理解と事前設計が重要です。自社のビジネスがどこに該当するのかを正しく把握し、適切な選択を行いましょう。