「採用したいけど、担当者の時間がない」 「予算が限られているから、失敗できない」 「どの採用代行会社を選べばいいか分からない」
中小企業の採用担当者が抱えるこうした悩みに対し、採用代行(RPO)はとても強力な解決策です。しかし、サービス内容も料金体系も会社によってバラバラで、比較が難しいのが実情です。
この記事では、中小企業に適した採用代行会社19社を一覧で徹底比較し、料金相場・対応範囲・選び方を分かりやすく解説します。5分で読めて、あなたの会社に最適な1社が見つかる内容です。
採用代行(RPO)とは?基礎知識を3分で理解

採用代行(RPO)とは、「Recruitment Process Outsourcing(リクルートメント・プロセス・アウトソーシング)」の略で、採用業務の一部または全部を外部の専門会社に委託するサービスです。
求人票の作成、応募者対応、面接日程の調整、スカウト配信など、採用活動に関わる様々な業務を代わりに行ってもらうことで、社内の採用担当者の負担を大幅に軽減できます。
人材紹介・派遣との違い
採用代行は、人材紹介や派遣とは明確に異なるサービスです。
人材紹介は、候補者そのものを紹介するサービスで、採用が決まった際に成果報酬(年収の30〜35%程度)を支払います。一方、採用代行は採用業務そのものを代行するサービスで、月額固定や業務量に応じた料金体系が一般的です。
派遣は、労働力そのものを提供するサービスですが、採用代行は採用活動の支援に特化しており、実際に働く人材を提供するわけではありません。
中小企業が採用代行を使うべき3つの理由
近年、中小企業での採用代行の導入が急増しています。その背景には、以下の3つの理由があります。
①採用担当者1名を雇用するより低コスト
採用担当者を正社員として1名雇用する場合、年収400万円として月額約33万円のコストがかかります。一方、採用代行サービスは最低で月額10万円で利用でき、必要な業務だけを依頼できるため、コスト効率に優れています。
②必要な期間だけ利用できる柔軟性
新卒採用のシーズンや事業拡大に伴う増員など、採用ニーズは時期によって変動します。採用代行なら3ヶ月や6ヶ月といった期間限定での利用も可能で、繁忙期だけスポット的に活用することもできます。
③専門ノウハウを即座に活用できる
効果的な求人票の書き方、スカウトメールの文面、応募者を惹きつける面接対応など、採用には専門的なノウハウが求められます。採用代行会社は数百社、数千社の採用支援実績があり、そのノウハウを自社の採用活動にすぐに活かせます。
採用代行に依頼できる業務内容【一覧表】

採用代行では、採用活動の幅広い業務を委託できます。ここでは、採用プロセスを8つに分解し、それぞれどのような業務を依頼できるのかを一覧で解説します。
採用代行で依頼できる業務一覧
まず、採用代行で依頼できる業務を一覧で見てみましょう。
| 業務内容 | 詳細 | 委託可否 |
| ①採用戦略設計 | ターゲット人材のペルソナ設計、採用チャネルの選定、KPI設定など | ○ |
| ②求人票作成 | 魅力的な募集要項の作成、訴求ポイントの整理 | ○ |
| ③媒体運用 | Indeed、求人ボックス、Wantedlyなどへの出稿・運用 | ○ |
| ④スカウト配信 | ダイレクトリクルーティングサイトでのスカウトメール作成・配信 | ○ |
| ⑤応募者対応 | 問い合わせ対応、応募受付、面接日程調整、リマインド連絡 | ○ |
| ⑥書類選考 | 応募書類のスクリーニング、選考通過者の選定サポート | △ |
| ⑦面接実施 | 一次面接の代行、面接官トレーニング | △ |
| ⑧内定者フォロー | 内定通知の発送、内定承諾までのフォロー、辞退防止施策 | ○ |
※△は会社によって対応可否が異なります
中小企業が最も委託すべき業務TOP3
採用代行を初めて利用する中小企業におすすめの委託業務は、以下の3つです。
1位:スカウト配信・応募者対応(工数削減効果:最大70%)
日程調整やリマインド連絡など、定型的だが時間のかかる業務を委託することで、採用担当者の業務負担を大幅に削減できます。
2位:求人票作成・媒体運用(専門性が高く、効果に差が出る)
求人票の質は応募数に直結します。プロの視点で作成された求人票は、応募率が2〜3倍になることも珍しくありません。
3位:内定者フォロー(辞退率を下げる重要業務)
せっかく内定を出しても、入社までのフォローが不十分だと辞退されてしまいます。定期的な連絡や不安解消のサポートにより、内定承諾率を高められます。
【タイプ別】採用代行会社の3つの分類

採用代行会社は、大きく3つのタイプに分類できます。自社に合ったタイプを見極めることが、採用代行選びの第一歩です。
①総合型大手
採用戦略の設計から実務まで、採用プロセス全体を一気通貫でサポートするタイプです。大手人材サービス会社が提供しており、豊富な実績とノウハウを持っています。
向いている企業
- 年間採用人数が20名以上
- 採用予算が潤沢に確保できている
- 採用戦略から見直したい
- 全国展開しており、複数拠点での採用が必要
料金相場
月額30万円〜100万円
メリット
- 実績が豊富で信頼性が高い
- 大規模採用にも対応可能
- 全国対応が可能
- 採用戦略の立案から実行まで任せられる
デメリット
- 費用が高額
- 最低契約期間が長い(6ヶ月〜1年)
- 小規模採用には向かない
- 担当者が複数社を兼任していることが多い
②業務特化型
スカウト配信、面接代行、媒体運用など、特定の業務のみに特化したタイプです。必要な業務だけをピンポイントで依頼できます。
向いている企業
- 特定の業務だけ外部の力を借りたい
- すでに採用活動を行っているが、一部の業務で困っている
- 部分的にコストを抑えたい
料金相場
月額1万円〜50万円(業務内容による)
メリット
- 必要な部分だけ依頼できる
- コストを抑えられる
- その分野の専門性が高い
- 契約期間が柔軟(3ヶ月〜)
デメリット
- 複数業務の委託には向かない
- 採用プロセス全体の最適化は難しい
- 複数社との契約が必要になる場合がある
③中小企業特化型(柔軟対応・低価格帯)
中小企業の予算や体制に合わせて、柔軟に対応してくれるタイプです。月額料金が比較的安く、契約の自由度が高いのが特徴です。
向いている企業
- 初めて採用代行を使う
- 予算が限られている(月額40万円以下)
- 少人数の採用(年間10名以下)
- 柔軟に相談しながら進めたい
料金相場
月額10万円〜40万円
メリット
- 小規模採用でも対応可能
- 契約の柔軟性が高い(1ヶ月単位も可)
- 担当者との距離が近い
- 予算に合わせたプラン設計が可能
デメリット
- 大量採用には向かない
- 実績が大手より少ない場合がある
- 全国対応していない会社もある
採用代行会社19社を一覧で徹底比較【比較表付き】

ここでは、中小企業に適した採用代行会社19社を、タイプ別に一覧で比較します。まずは全体像を把握できる総合比較表をご覧ください。
| No. | 会社名 | タイプ | 料金目安 | 特徴 | 中小企業対応 |
| 1 | パーソルテンプスタッフ | 総合型 | 月50万円〜 | 人材業界大手の総合力 | △ |
| 2 | マンパワーグループ | 総合型 | 月60万円〜 | グローバル実績、戦略設計に強み | △ |
| 3 | アデコ | 総合型 | 月50万円〜 | 外資系企業の採用に強い | △ |
| 4 | リクルーティング・パートナーズ | 総合型 | 月80万円〜 | ベンチャー・スタートアップ支援 | △ |
| 5 | ネオキャリア | 総合型 | 月40万円〜 | 中堅企業の実績多数 | ○ |
| 6 | ウィルオブ・ワーク | 総合型 | 月50万円〜 | 採用難職種に強い | △ |
| 7 | HELP YOU | 業務特化 | 月10万円〜 | オンライン完結、事務作業特化 | ◎ |
| 8 | キャスタービズリクルーティング | 業務特化 | 月40万円〜 | リモート対応、柔軟なプラン | ○ |
| 9 | Remoba採用 | 業務特化 | 月35万円〜 | オンラインアシスタント型 | ○ |
| 10 | 採用★ | 業務特化 | 月20万円〜 | スカウト代行専門 | ○ |
| 11 | トルー | 業務特化 | 月15万円〜 | Indeed運用特化 | ◎ |
| 12 | 面接代行.com | 業務特化 | 月25万円〜 | 面接・選考支援専門 | ○ |
| 13 | スカウトエージェント | 業務特化 | 月18万円〜 | スカウト配信専門 | ◎ |
| 14 | まるごと人事 | 中小特化 | 月45万円〜 | 成長企業向け、柔軟対応 | ◎ |
| 15 | 採用の窓口 | 中小特化 | 月15万円〜 | 小規模企業向け、1ヶ月契約可 | ◎ |
| 16 | 中小企業採用サポート | 中小特化 | 月20万円〜 | 地方企業の実績多数 | ◎ |
| 17 | PRO人事 | 中小特化 | 月30万円〜 | 人事コンサル併設 | ○ |
| 18 | 採用工房 | 中小特化 | 月12万円〜 | 初期費用ゼロ、都度プラン変更可 | ◎ |
| 19 | ベンチャー採用パートナー | 中小特化 | 月25万円〜 | スタートアップ支援特化 | ◎ |
凡例
- ◎:非常に適している
- ○:適している
- △:条件による
19社を見て迷った方は、以下を参考に絞り込んでみてください。
✓ 年間採用人数が20名以上、全国展開している → No.1〜6の総合型大手から3社に問い合わせ
✓ スカウト配信や媒体運用など、特定業務だけ任せたい → No.7〜13の業務特化型から、該当業務に強い会社を選択
✓ 予算月40万円以下、小規模〜中規模の採用(年間10名以下) → No.14〜19の中小企業特化型から3社に問い合わせ
気になる会社が見つかったら、まずは資料請求や問い合わせをしてみましょう。複数社を比較することで、自社に最適なパートナーが見つかります。
採用代行の料金相場と費用体系

採用代行を検討する際、最も気になるのが料金です。ここでは、料金相場と費用体系について詳しく解説します。
月額料金の相場
採用代行の月額料金は、サービスのタイプや対応範囲によって大きく異なります。
総合型大手:月額30万円〜100万円
採用戦略の設計から実務まで一気通貫で対応。大規模採用や全国展開企業向けで、専任チームが付くことが多いため料金は高めです。
業務特化型:月額1万円〜50万円
スカウト配信、媒体運用、応募者対応など、特定業務のみを委託。必要な業務だけを選べるため、コストを抑えられます。
中小企業特化型:月額10万円〜40万円
中小企業の予算に合わせた柔軟なプラン設計が可能。小規模採用でも対応してくれるため、初めての採用代行利用に適しています。
料金体系の3パターン
採用代行の料金体系は、大きく3つのパターンに分かれます。
①月額固定型
毎月一定額を支払い、決められた範囲の業務を依頼する形式です。
メリット
- コストが予測しやすい
- 予算管理がしやすい
- 継続的なサポートを受けられる
デメリット
- 採用人数が少なくても費用は同じ
- 業務量の変動に対応しにくい
安定的に採用活動を行う企業、予算を明確にしたい企業に向いています。
②従量課金型
スカウト配信数、面接実施数、応募者対応件数など、実際に発生した業務量に応じて課金される形式です。
メリット
- 使った分だけの支払い
- 繁閑に合わせて柔軟に利用できる
- 無駄なコストが発生しない
デメリット
- 月々の費用が読みにくい
- 繁忙期に予想以上の費用がかかる可能性
採用人数が月によって変動する企業、スポット的に利用したい企業に向いています。
③成果報酬型(ハイブリッド型)
月額基本料+採用成功時の報酬を支払う形式です。基本料は10万円〜30万円程度で、採用が決まった際に年収の15〜35%を追加で支払います。
メリット
- 採用できなければ追加費用なし
- 成果にコミットしてもらえる
- リスクを抑えられる
デメリット
- 成功報酬が高額(年収400万円の場合、60万円〜140万円)
- 人材紹介と料金体系が似ており、採用代行のメリットが薄れる
採用難易度が高い職種を採用したい企業、確実に採用したい企業に向いています。
業務別の単価目安
従量課金型や部分委託を検討する場合、業務別の単価目安を知っておくと便利です。
| 業務内容 | 単価目安 |
| スカウト配信 | 300円〜1,500円/通 |
| 面接日程調整 | 1,000円〜3,000円/回 |
| 求人票作成 | 3万円〜10万円/1媒体 |
| 媒体運用代行 | 5万円〜20万円/月 |
| 応募者対応(問い合わせ対応) | 500円〜2,000円/件 |
| 一次面接代行 | 5,000円〜1.5万円/回 |
| 内定者フォロー | 3,000円〜1万円/人・月 |
※金額は目安であり、会社や契約内容によって異なります。
初期費用ゼロで始められる会社5選
中小企業にとって、初期投資を抑えられることは重要なポイントです。以下の5社は、初期費用ゼロで始められるプランを提供しています。
- HELP YOU(月額10万円〜)
- 採用の窓口(月額15万円〜)
- 採用工房(月額12万円〜)
- トルー(月額15万円〜)
- スカウトエージェント(月額18万円〜)
また、採用代行の導入を検討する際は、単純な料金だけでなく、費用対効果で判断することが重要です。
例えば正社員の採用担当者を1名雇用する場合、年収400万円だとすると月額換算で約33万円かかります。その他、社会保険料、賞与、研修費用なども発生するため、それらの合算に比べてかかる費用がどのくらいかで判断しましょう。
よくある質問FAQ

採用代行の導入を検討する際によく寄せられる質問をまとめました。
Q1. 採用代行と人材紹介の違いは?
A. 人材紹介は、候補者そのものを紹介するサービスで、採用が決まった際に成果報酬(年収の30〜35%程度)を支払います。
一方、採用代行は採用業務そのものを代行するサービスで、月額固定や業務量に応じた料金体系が一般的です。人材紹介は「誰を採用するか」、採用代行は「どう採用活動を進めるか」に焦点を当てたサービスと言えます。
複数名の採用を予定している場合は、採用代行の方がコストを抑えられるケースが多くあります。
Q2. 最低契約期間はどれくらい?
A. 会社によって異なりますが、3ヶ月〜6ヶ月が一般的です。
総合型大手は6ヶ月以上の契約が多く、中小企業特化型は1ヶ月単位で契約できる会社もあります。初めて採用代行を利用する場合は、まずは3ヶ月のお試し契約から始めることをおすすめします。
採用活動の効果を正確に測定するには、最低でも3ヶ月は必要です。1〜2ヶ月では求人の露出が安定せず、十分なデータが得られません。
Q3. 途中で契約内容を変更できる?
A. 多くの会社で可能です。ただし、月単位での変更となるケースが多いため、事前に確認しましょう。
例えば、「最初はスカウト配信のみ依頼し、効果が出てきたら応募者対応も追加する」といった柔軟な対応ができる会社もあります。
契約前に「プラン変更の可否」「変更時の手続き」「追加費用の有無」を確認しておくと安心です。
Q4. 社内の採用ノウハウがなくても大丈夫?
A. 問題ありません。むしろノウハウがない企業こそ、採用代行を活用すべきです。
採用代行会社は数百社、数千社の支援実績があり、業界ごとの採用トレンドや効果的な手法を熟知しています。求人票の書き方、スカウトメールの文面、面接での質問項目など、プロのノウハウを活用できます。
ただし、「どんな人材が欲しいか」という選考基準は、社内で明確にしておく必要があります。この部分が曖昧だと、採用代行会社も動けません。
Q5. 小規模企業(従業員10名以下)でも利用できる?
A. 可能です。中小企業特化型の会社は、小規模企業にも対応しています。
例えば、「採用の窓口」や「採用工房」などは、従業員50名以下の小規模企業を中心にサービスを展開しており、月額10万円台から利用できるプランもあります。
年間の採用人数が1〜3名程度でも対応してもらえるため、「小規模だから利用できない」と諦める必要はありません。
Q6. 地方企業でも利用できる?
A. 可能です。多くの採用代行会社は、オンラインでのやり取りに対応しており、全国どこからでも利用できます。
特に「中小企業採用サポート」は、地方企業の支援実績が豊富で、Uターン・Iターン採用のノウハウも持っています。
ただし、会社によっては「首都圏のみ対応」というケースもあるため、問い合わせ時に確認しましょう。
Q7. どれくらいの期間で効果が出る?
A. 一般的には3ヶ月〜6ヶ月で効果が見え始めます。
求人の露出を増やし、スカウト配信を開始してから、応募が安定するまでには一定の期間が必要です。特に採用難易度が高い職種では、半年以上かかることもあります。
短期的な視点で「1ヶ月で結果が出ない」と判断せず、データを蓄積しながら改善していく姿勢が重要です。
Q8. 契約後、どれくらいの頻度で報告してもらえる?
A. 会社によって異なりますが、週次または月次での報告が一般的です。
報告内容は、応募数、スカウト配信数、返信率、選考通過率、面接実施数などのKPIデータと、次週・次月の施策提案が含まれます。
契約前に「報告の頻度」「報告内容」を確認し、自社が求める情報が得られるかをチェックしましょう。
Q9. 採用代行を使うと、社内に採用ノウハウが残らない?
A. 工夫次第でノウハウを蓄積できます。
定期的な振り返りミーティングを実施し、「どんな求人票が効果的だったか」「どのスカウト文面の返信率が高かったか」などを共有してもらいましょう。
また、採用代行会社に「なぜその施策を行ったのか」を都度説明してもらうことで、社内に知見を残すことができます。将来的に自社で採用活動を行う際の財産になります。
Q10. 面接も代行してもらえる?
A. 会社によって対応可否が異なります。
一次面接の代行に対応している会社もありますが、最終面接は自社で実施するのが一般的です。面接代行を依頼する場合は、選考基準を明文化し、定期的にすり合わせを行うことが重要です。
また、「面接官トレーニング」を提供している会社もあり、社内の面接官のスキルアップを支援してもらうこともできます。
まとめ

採用代行(RPO)は、中小企業の採用課題を解決する有力な選択肢です。
「採用したいけど時間がない」「予算が限られている」「ノウハウがない」こうした課題を抱える中小企業こそ、採用代行を活用すべきです。
この記事で紹介した19社の一覧を参考に、あなたの会社に最適な採用代行会社を見つけてください。
まずは気になる会社3社に問い合わせて、初回打ち合わせで担当者の質を確認することから始めましょう。採用活動の負担を減らし、より良い人材との出会いを実現するための第一歩を踏み出してください。