採用代行サービスの利用を検討しているなら、一度は「この採用代行業者は、きちんとした企業なのか?」「本当に信頼できるのか?」と疑問に思ったことがあるのではないでしょうか。
特に、採用活動という企業の重要なプロセスを外部に委託するときは、相手企業の信頼性を確認したいという気持ちは当然です。その確認方法の一つが「免許を持っているかどうか」になります。
採用代行業者が「有料職業紹介事業の許可」を取得しているのか、それとも持っていないのか。採用担当者の中には「免許がない=怪しい企業」と考えてしまう人も多いでしょう。
しかし、ここで重要なポイントがあります。実は、採用代行業者に免許が必須かどうかは、業者が提供するサービスの内容によって大きく異なるのです。
本記事では、採用担当者が採用代行業者を選ぶときに必ず確認すべき「免許と採用代行の関係」について、わかりやすく解説します。
「この業者は免許が必要な業務をしているのか?」「それとも免許不要の支援業務なのか?」を判断できるようになれば、より安心して採用代行を選択できるようになるでしょう。また、万が一のトラブルを避けるための確認方法も併せてお伝えします。
人材紹介の免許とは?採用担当者が知るべき基本

採用代行業者の免許について理解するには、まず基本的な知識を整理しておく必要があります。法律上、免許とは何なのか、そしてなぜ採用活動に関わる免許が存在するのかを理解することが、適切な採用代行業者選びの土台となります。
「有料職業紹介事業」の免許と採用代行の関係
法律上、「有料職業紹介事業」とは、求人企業と求職者の間に立ち、両者をマッチングさせることで報酬を得る事業のことを指します。正式には「職業安定法」という法律によって規制されており、この事業を行うには厚生労働大臣から許可を得ることが義務付けられています。わかりやすく言えば、「人材の紹介」という行為自体が法律で厳しく管理されているということです。
なぜここまで厳しく規制されるのかというと、それは求職者の権利を守るためです。無許可で誰もが人材紹介を始められてしまうと、不適切な情報提供や個人情報の不正利用、不当な中間搾取など、求職者にとって様々なリスクが生じます。そうした問題を防ぐため、一定の要件を満たした企業にのみ免許を与える仕組みになっているのです。
では、採用代行業者に免許が必要かどうかは、何で判断するのかというと、それは「その企業が、求職者と求人企業をマッチングさせる『紹介』をしているかどうか」という一点に尽きます。
もし採用代行業者が免許なしで違法に職業紹介を行っていた場合、その業者だけでなく、採用企業側も法的問題に巻き込まれるリスクがあります。採用担当者がしっかり確認することは、自社を守るためにも不可欠なのです。
無許可で職業紹介を行った場合、法律上の罰則は極めて厳しく設定されています。具体的には、1年以下の懲役または100万円以下の罰金に科される可能性があります。これは単なる行政処分ではなく、刑事罰です。採用担当者として、こうしたリスクを認識した上で、採用代行業者を選ぶことが重要です。
採用代行と人材紹介業者は何が違う?
ここで明確にしておくべき点があります。「採用代行業者」と「人材紹介業者」は、似ているようで全く異なる存在です。両者の違いを理解することが、免許要件を判断する上での第一歩となるのです。
人材紹介業者は、求人企業から「こういう人材を探してほしい」という依頼を受け、該当する求職者を見つけ出し、紹介することで報酬を受け取ります。報酬の形態は多くの場合、採用が成立した際に「紹介手数料」として求人企業から受け取る仕組みです。例えば、年収500万円の人材を紹介し、採用が決まった場合、その年収の20~30%程度を紹介手数料として受け取る、といったビジネスモデルが一般的です。
人材紹介業者の主要な業務は「マッチング」と「紹介」です。求職者との面談を通じて適性や経験を把握し、企業の要件にマッチする人材を探し出し、企業に紹介します。この「紹介」という行為が、職業安定法で規制されているわけです。なので、人材紹介業者は必ず免許(有料職業紹介事業許可)を取得しなければなりません。
一方、採用代行業者の役割は異なります。採用代行とは、企業の採用活動全体、または一部を代わりに行うサービスです。具体的には、求人票の作成、学生向けコンテンツの制作、インターンシップの企画・運営、面接対応のサポート、内定者フォローなど、採用に関わるあらゆるプロセスをサポートします。
重要なのは、採用代行業者が「求職者と求人企業を紹介する」という行為をしているかどうかという点です。採用代行が行うのは「採用活動の支援」であり、必ずしも「紹介」ではないのです。例えば、採用代行業者が「学生向けのコンテンツを制作して、御社の採用サイトに掲載します」というサービスを提供しているなら、これは「採用支援」です。「インターンシップを企画して、学生を集めるお手伝いをします」というサービスなら、これも「採用支援」です。
一方で、「このような学生を探してきて、御社に紹介します。紹介が決まったら、年収の20%を手数料として受け取ります」というサービスを採用代行業者が提供しているなら、これは「紹介」であり、免許が必要になります。同じ「採用代行」という名称であっても、実際の業務内容によって、免許要件は大きく変わるのです。
以下の表は、採用代行と人材紹介業者の業務範囲の違いを整理したものです。この表を見ると、採用代行業者の業務形態によって、免許の必要性が大きく異なることが一目瞭然です。つまり、採用担当者が確認すべきことは「この采用代行業者は、どの業務形態で私たちをサポートするのか」という一点に尽きるのです。
【採用代行と人材紹介業者の業務範囲】
| 業務内容 | 人材紹介業者 | 採用代行業者(免許不要型) | 採用代行業者(免許必要型) |
| 求職者・学生の発掘 | ◎ | △(支援のみ) | ◎ |
| 求職者・学生と企業のマッチング | ◎ | ✗ | ◎ |
| 紹介手数料の受け取り | ◎ | ✗ | ◎ |
| コンテンツ制作支援 | ✗ | ◎ | ○ |
| インターンシップ企画・運営 | △ | ◎ | ○ |
| 内定者フォロー | △ | ◎ | ○ |
| 必要な免許 | 必須 | 不要 | 必須 |
採用代行業者に免許が必須な場合・不要な場合

採用代行業者を選ぶときに「この業者は免許が必要なのか、不要なのか」を正確に判断するフレームワークを身につけることが、安心して委託できるかどうかを分ける大きなポイントになります。前章で見たように、業務内容次第で免許要件が変わることを踏まえ、具体的にはどのような場合に免許が必須で、どのような場合に不要なのかを明確に整理しましょう。
採用代行業者に「免許が必須」の場合
採用代行業者に免許が必須となるケースは、その企業が「有料職業紹介事業」の定義に該当する業務を行うときです。言い換えれば、求職者と求人企業を結びつけ、その結果に対して報酬を得ているかどうかが、判断の基準となります。
最も典型的なケースは、採用代行業者が求人企業から候補者を紹介し、紹介手数料を受け取る場合です。例えば、「当社が学生を探して、御社に紹介します。採用が成立したら、初年度年収の20%を手数料として受け取ります」という仕組みが該当します。これは紛れもなく「紹介」であり、免許が必須です。
また、採用代行業者が「求職者と求人企業のマッチング」を主要業務とする場合も該当します。学生の適性や経験、希望条件を詳細にヒアリングし、企業の要件にマッチする学生を見つけ出し、企業に提案するという行為は、形態がどうであれ、職業紹介に該当する可能性が高いのです。
さらに、採用代行業者が継続的に人材紹介を行っている場合、法的には「紹介」と判断されます。ここで「継続的」というのは、複数の企業に対して複数回の紹介を行う場合を指します。「一度きりなら大丈夫」ではなく、採用が成立したかどうかに関わらず、紹介という行為自体が繰り返されれば、それは職業紹介事業と判断されるのです。
さらには、複数企業の採用活動を同時に支援する場合、免許が必要かどうかをより慎重に判断する必要があります。複数企業に対して学生を紹介する仕組みになっていないか、採用支援という名目で実質的には紹介に該当する業務をしていないか、詳細に確認することが重要です。
採用代行業者に「免許が不要」の場合
一方で、採用代行業者の業務が以下に該当する場合、免許は不要です。
- 母集団形成支援
- コンテンツ制作支援
- インターンシップ企画・運営
- 内定者フォロー
- 面接官育成
- 採用コンサルティング
ここに該当するかどうかが、採用担当者が採用代行業者を選ぶ際の重要な判断基準となります。これらは全て応募者を増やすための取り組みのフォローに過ぎず、実際に求職者と企業をマッチングさせているわけではないため、免許が不要なのです。
つまり、採用代行業者が以上のような「採用支援」に徹して、「紹介」という行為をしていないのであれば、免許は必要ないのです。採用代行という名称だけで判断するのではなく、実際に何をしているのかが重要なのです。
どこまでが「紹介」か判断が難しい場合
ここまでの説明で、多くの採用担当者は「採用代行は免許不要、人材紹介は免許必須」と考えるかもしれません。しかし、実際の業務の中には、判断が難しい「グレーゾーン」が存在することも認識しておく必要があります。
まず、採用代行業者が学生と企業の間に立つ場合、特に注意が必要です。例えば、採用代行業者が学生にヒアリングを行い、その内容を企業に伝える、または企業の要件を学生に伝えるという仲介的な役割を担う場合、これが「マッチング」と判断される可能性があります。マッチングは紹介の一部であり、これが継続的に行われれば、免許が必須になる可能性があるのです。
推薦状や推薦コメントを企業に提供する場合も、グレーゾーンとなり得ます。採用代行業者が学生を評価し、その評価に基づいて企業に学生を推薦するという行為が、どこまで「紹介」に該当するのか、判断が分かれることがあります。
「学生の推薦」という形式での紹介も、判断が難しい領域です。採用代行業者が「この学生は御社に合うと思います」という形で学生を提案する場合、これは「支援」なのか「紹介」なのか、その境界線は時に曖昧です。採用代行業者自身も、この境界線を正確に理解していない場合もあるため、採用担当者が明確に確認することが重要です。
こうした曖昧な領域については、採用代行業者に対して直接質問することが最も確実です。「この業務は、職業紹介に該当する可能性があるのでは?」という質問をぶつけることで、相手企業の理解度や誠実性を測ることもできます。もし採用代行業者が曖昧な回答をしたり、「そんなことは気にしなくていい」と言ったりするなら、それは警戒信号と考えるべきです。
採用代行業者の免許を確認する方法

ここまで、採用代行業者に免許が必要な場合と不要な場合を解説してきました。しかし、実際に採用代行業者を選ぶときに最も重要なのは、「この業者が本当に免許を持っているのか、それとも持っていないのか、そしてそれが適切なのか」を正確に確認することです。ここからは、採用担当者が実際に取るべき確認方法を、具体的に解説します。
免許を持っているか確認する方法
最も信頼性が高い確認方法は、サイトで免許情報を検索することです。採用代行業者が「有料職業紹介事業の許可」を取得している場合、厚生労働省のウェブサイトで許可企業として登録されています。厚生労働省の職業安定局のページには、全国の有料職業紹介事業許可企業のリストが公開されており、そこで検索することで、対象企業が免許を取得しているかどうかを確認することができます。
さらに詳細な情報を得たい場合は、都道府県労働局のホームページを確認することも有効です。各都道府県の労働局では、その地域における有料職業紹介事業許可企業の一覧を公開しており、企業名や許可番号、許可日などの詳細情報が記載されています。もし採用代行業者が関東地方に拠点を持つなら、関東労働局の公式サイトを確認するという具体的な方法が取れます。
採用代行業者自身のホームページに「有料職業紹介事業許可」の記載があるかどうかも、重要な確認ポイントです。信頼できる企業であれば、自社が許可を取得している場合、ホームページのどこかに「当社は厚生労働大臣から有料職業紹介事業の許可を取得しています(許可番号:○○-○○-○○○○)」という記載があります。逆に、免許を取得していないにもかかわらず、あたかも持っているかのような誤解を招く表現をしている場合は、警戒が必要です。
質問する際のポイント
公式サイトの確認に加えて、直接採用代行業者に質問することも重要です。その際の質問方法にはコツがあります。
最も直接的で効果的な質問は、「貴社は有料職業紹介事業の許可を取得していますか?」とストレートに聞くことです。この質問に対して、採用代行業者は「はい、取得しています」「いいえ、取得していません」のどちらかで答える必要があります。曖昧な回答や、話題逸らしをするような企業は、その時点で信頼性が低いと考えるべきです。
もし採用代行業者が「はい、取得しています」と答えた場合、さらに「許可番号を教えていただけますか?」と質問することをお勧めします。許可番号を教えてもらうことで、公式サイトでその番号が存在するかどうかを確認することができます。もし許可番号を提示できない、または提示した番号が存在しないという場合は、極めて危険です。
さらに踏み込んで、「貴社は求職者から手数料を受け取っていますか?それとも採用企業から手数料を受け取っていますか?」という質問も有効です。この質問は、採用代行業者の収益モデルを理解するためのものです。求人企業から採用成功時に紹介手数料を受け取る仕組みになっていないかどうかを確認することで、その業者が本当に「採用支援」に徹しているのか、それとも「紹介」という行為をしているのかが判断できます。
採用代行業者の説明が曖昧な場合
もし採用代行業者の説明が曖昧だったり、質問に対する回答が不明確だったりした場合、どのように対応すべきでしょうか。
まず心がけるべきことは、「採用代行業者の説明を鵜呑みにしない」ということです。「求職者を紹介する」と「採用を支援する」の違いを明確に理解していない企業もあります。自社の行為が、実は免許が必要な「紹介」に該当しているのに、それを認識していない場合もあるのです。採用担当者側が、この違いをしっかり理解した上で、採用代行業者に確認することが重要です。
採用代行業者に対して、「業務範囲を具体的に書面で確認させていただけますか?」と要求することも有効です。契約書やサービス提案書の中で、
「当社は以下の業務を提供します。①母集団形成支援、②コンテンツ制作、③インターンシップ企画・運営、④内定者フォロー」
というように、業務内容が明確に列挙されているかどうかを確認することで、その企業の透明性を測ることができます。
もし説明が曖昧で、採用担当者自身で判断できない場合は、都道府県労働局に相談することも一つの選択肢です。労働局の担当者は、「この業務内容の場合、免許が必要かどうか」という具体的な質問に対して、専門的なアドバイスを提供してくれます。採用代行業者の説明に不安を感じたら、第三者の専門家に相談することで、より安心できる判断ができるのです。
採用担当者が採用代行業者を選ぶときに気をつけるべきことは、「免許の有無」だけではなく、「採用代行業者の説明の透明性」と「信頼性」です。採用活動という企業の重要なプロセスを委託するわけですから、相手企業がしっかりとした理解と倫理観を持っているかどうかを、複数の角度からチェックすることが不可欠なのです。
よくある勘違い:採用代行と免許について
-1024x538.png)
採用代行業者を検討する採用担当者の多くは、採用代行と免許の関係について、いくつかの根拠のない固定観念を持っています。ここからは、そうした勘違いを一つ一つ解きほぐし、正確な理解を示していきます。こうした勘違いを避けることが、採用代行業者選びの成功につながるのです。
勘違い①「採用代行業者なら全て免許が必要」は誤り
最も典型的な勘違いが、「採用代行 = 免許が必須」という固定観念です。採用担当者の多くは、「採用代行というサービスを受けるなら、その企業は必ず免許を持っていなければいけない」と考えがちです。しかし、これは正確ではありません。
実際には、採用代行の業務内容によって、免許の必要性は大きく異なります。採用代行という名称だけで判断するのではなく、「その企業は具体的にどのような業務をしているのか」を確認することが重要です。例えば、採用サイトの制作やコンテンツ制作に特化した採用代行業者であれば、免許は不要です。一方で、学生と企業を紹介し、紹介手数料を得るビジネスモデルの採用代行業者であれば、免許が必須です。
「採用代行=採用支援」と考えるのではなく、「採用代行の中にも、採用支援型と紹介型の2つのタイプがある」という理解を持つことが大切です。
勘違い②「免許を持っていない企業は信頼できない」は一概に言えない
次に多い勘違いが、「免許がない=怪しい企業、信頼できない」という判断です。確かに、免許が必要な業務をしているのに免許を持たない企業は、違法であり、信頼できません。しかし、業務の性質上、免許が必要ないにもかかわらず、「免許がないから信頼できない」と判断するのは、正確な評価ではないのです。
採用支援に特化した採用代行業者の中には、免許を持っていない優良企業が多数存在します。例えば、新卒採用に特化し、母集団形成支援やコンテンツ制作、インターンシップ企画に徹している企業であれば、免許は必要ありません。そうした企業が免許を取得していないのは、「怠慢」ではなく、「業務の性質上、必要ないから」なのです。
重要なのは、「免許の有無」ではなく、「採用代行業者が自社の業務範囲を正確に理解し、必要に応じて免許を取得しているかどうか」という点なのです。むしろ、「業務範囲が採用支援に限定されており、紹介は行わない」と明確に宣言している企業の方が、透明性が高く、信頼できるケースすらあります。
勘違い③「免許があれば100%安全」は誤り
反対に、「免許を持っている企業なら絶対に大丈夫」という考えも、同様に誤りです。免許は、企業が一定の基準を満たしているという証ですが、それがサービスの質や、企業の誠実性を完全に保証するわけではありません。
免許を取得している企業の中には、財産要件や個人情報管理体制など、法律で定められた最低限の要件を満たしているだけの企業も存在します。免許を取得しているからといって、採用成功を確実に約束してくれるわけではなく、採用担当者のニーズに本当に応えるサービスを提供しているかどうかは、別の問題なのです。
さらに注意すべきは、免許を取得している企業が、新卒採用に本当に詳しいのかどうかという点です。有料職業紹介事業の許可を取得している企業の多くは、中途採用を中心に事業を行っています。新卒採用と中途採用では、採用戦略もプロセスも大きく異なります。中途採用の経験しかない企業が、新卒採用のサポートをしている場合、実は採用企業にとって最適なサポートが受けられない可能性もあるのです。
つまり、採用代行業者選びにおいて重要なのは、「免許の有無」ではなく、「新卒採用に特化しているか、実績があるか、採用企業のニーズを理解しているか」といった、より本質的な要素なのです。
採用代行業者を選ぶときに確認すべきチェックリスト

ここまで、採用代行と免許の関係、確認方法、そしてよくある勘違いについて解説してきました。最後に、採用担当者が実際に採用代行業者を選ぶときに、何をチェックすべきかを、わかりやすいリスト形式で整理します。このチェックリストを活用することで、採用代行業者選びをより体系的かつ安全に進めることができます。
①免許関連の確認項目
採用代行業者を検討する際、まず確認すべきは免許に関する情報です。このカテゴリーの確認項目を順番にチェックしていくことで、採用代行業者が法的に問題のない企業であるかどうかを判断できます。
最初に確認すべきは、採用代行業者のホームページに、有料職業紹介事業の許可について明記されているかという点です。もし業務内容上、免許が必要な可能性がある場合、信頼できる企業であれば、ホームページのどこかに「当社は厚生労働大臣から有料職業紹介事業の許可を取得しています」と記載しているはずです。逆に、そうした記載がまったくない場合は、業務内容が採用支援に限定されているということを意味する可能性が高いです。
次に、採用代行業者に直接、「有料職業紹介事業の許可を取得していますか?」と質問する」ことが重要です。この質問に対して、企業が明確に「はい」または「いいえ」と答えるかどうかを確認しましょう。曖昧な回答や、質問を逃れるような返答をする企業は、その時点で警戒信号です。
もし採用代行業者が「はい、取得しています」と答えた場合、さらに「許可番号を教えていただけますか?」と質問してください。許可番号を得たら、厚生労働省のウェブサイトや都道府県労働局のホームページで、その番号が実在するかどうかを確認することができます。
最後に、厚生労働省または都道府県労働局のウェブサイトで、採用代行業者の免許情報を確認するステップを実行しましょう。これは最も確実な確認方法であり、採用代行業者の説明と公式情報が一致しているかどうかを検証することができます。
②業務範囲の確認項目
免許情報の確認に加えて、採用代行業者の業務範囲を正確に理解することも重要です。ここでの確認が、「この採用代行業者は免許が本当に必要な業務をしているのか」を判断するための重要な手がかりとなります。
まず確認すべきは、具体的にどんなサービスが提供されるのか書面で要求することです。契約書やサービス提案書に、業務内容が明確に列挙されているかを確認しましょう。具体的に記載されているなら、その企業は透明性が高いと言えます。
さらに、「採用が決定した場合、どのような報酬を受け取りますか?」と質問することも重要です。ここで「採用成功時に紹介手数料を受け取る」と答えた企業であれば、明らかに紹介業務を行っており、免許が必須です。一方で「月額固定の料金体系です」と答えた企業であれば、採用支援に徹した企業である可能性が高いです。
③信頼性の確認項目
最後に、採用代行業者そのものの信頼性を判断するための確認項目を紹介します。これらは免許や業務範囲とは異なる角度から、採用代行業者の信頼度を測るためのものです。
まず、企業ホームページに免許情報が明記されているか、また必要に応じて許可番号が記載されているかを確認しましょう。透明性の高い企業であれば、こうした情報をホームページに載せることで、利用者の不安を払拭しようとするはずです。
次に、個人情報管理体制について説明されているかを確認することが重要です。採用代行業者は、学生や企業の個人情報を扱います。その情報がどのように管理されているのか、セキュリティ対策はどのようになっているのかについて、採用代行業者が詳しく説明できるかどうかは、信頼性を判断する重要なポイントです。
さらに、実績や事例が示されているかを確認しましょう。採用代行業者が、自社のサービスを利用した企業の事例やクライアント企業数などを公開しているか、またはクライアント企業からの推薦状やレビューがあるかどうかを確認することで、その企業の信頼性と実績を判断できます。
このチェックリストの全ての項目を確認することで、採用担当者は採用代行業者の安全性と信頼性をより高い精度で判断することができるようになります。採用活動は企業の重要なプロセスです。時間をかけて、しっかりと確認することが、後々のトラブルを防ぎ、採用成功へと繋がるのです。
学生目線の採用代行なら、免許不要で新卒採用を実現
-4-1024x538.png)
ここまで、採用代行業者の免許要件、確認方法、そして勘違いについて詳しく解説してきました。ここで一つの重要な気付きがあります。新卒採用に本当に必要なのは、「紹介」というサービスではなく、「採用支援」というサービスなのです。その事実を前提に、新卒採用に特化した採用代行サービスが、採用企業にもたらす価値について、最後に説明したいと思います。
学生人事の採用代行サービスについて
採用代行サービスの中でも、新卒採用に特化した「学生人事」は、学生が企業と伴走して新卒採用を後押しするというユニークなモデルを採用しています。このモデルの特徴は、採用支援に徹して、「紹介」という行為を行わないという点にあります。
学生人事のサービスは「採用が成立したら手数料を受け取る」という人材紹介の仕組みではなく、「毎月、一定の料金を支払うことで、採用支援を受ける」という、採用代行の典型的なモデルです。この仕組みだからこそ、学生人事は「採用成功」だけでなく、「採用企業と学生双方にとって最適なマッチングの実現」に集中できるのです。
学生人事が提供する採用代行サービスは、法的リスクなしで採用活動を委託できるという大きなメリットがあります。前章まで述べてきたように、採用代行業者が無許可で紹介を行っていた場合、採用企業側も法的問題に巻き込まれるリスクがあります。しかし、学生人事のような採用支援に特化した企業であれば、そうしたリスクが生じません。採用担当者は、法的不安を払拭した上で、安心して採用活動を委託することができるのです。
学生人事が提供する具体的なサービス
学生人事の採用代行サービスの具体的な内容を見ることで、なぜ免許が不要なのかが、さらに明確に理解できます。
まず、学生目線でのコンテンツ制作が、学生人事の中核的なサービスです。採用サイトの企画・制作、会社紹介動画の制作、採用パンフレットの作成、先輩社員のインタビュー動画など、学生が「企業について知りたい」と思う情報を、学生にとってわかりやすく、魅力的に提供します。これらのコンテンツ制作は、「紹介」ではなく、純粋な「情報提供」と「採用支援」です。学生視点で制作されたコンテンツは、企業の自社制作では伝わらない「学生目線での企業の魅力」を効果的に伝えることができます。
インターンシップ企画・運営も、学生人事の重要なサービスです。新卒採用において、インターンシップは学生が企業について深く知るための重要な機会です。学生人事は、学生にとって有意義でかつ企業の採用ニーズに合致したインターンシップを企画し、その実施をサポートします。学生視点でプログラムが設計されているため、学生の学習意欲を引き出し、企業に対する理解と関心を高めることができます。
内定者フォローも、学生人事の重要な機能です。新卒採用では、内定から入社までの期間に内定辞退が発生することが課題です。学生人事は、内定者に対して、研修プログラムの提供、メンタルサポート、同期との繋がりを作るイベント企画など、入社前の育成を包括的に行うことで、入社意欲を高め、内定辞退を防ぎます。さらに、内定者の相談に乗ることで、「この企業に入社するのは本当に大丈夫か」という不安を払拭することができます。
母集団形成支援も、学生人事の重要なサービスです。採用の第一歩は、いかに多くの学生にエントリーしてもらうかという母集団形成です。学生人事は、学生の検索行動を理解し、学生にとって見つけやすい採用サイトの設計、学生が興味を持ちやすい求人情報の作成、学生向けSNS広告の運用など、学生視点でのマーケティングを実施することで、質の高い母集団を形成するのをサポートします。
これらのサービスの全てが、「採用支援」に該当し、「紹介」ではありません。
採用代行業者選びで迷ったら
採用代行業者を選ぶ際に、「免許があるかないか」で判断に迷う場合があるかもしれません。そうした場合の判断基準を、ここで示しておきます。
まず確認すべきは、「採用代行業者が紹介手数料を受け取っているかどうか」です。もし採用代行業者が「採用が成立したら、初年度年収の20~30%を手数料として受け取る」と説明しているなら、それは紹介業務を行っており、免許が必須です。一方で、「月額固定の料金体系です」と説明しているなら、採用支援に徹しており、免許が不要である可能性が高いです。
次に確認すべきは、「採用代行業者が『学生と企業を紹介する』ということをしているかどうか」です。もし採用代行業者が「学生を企業に紹介することが、我々のメインサービスです」と説明しているなら、それは紹介業務であり、免許が必須です。一方で、「採用支援に徹して、学生と企業の間に立つことはしません」と説明しているなら、採用支援に特化した企業です。
月額固定の採用代行なら免許不要の可能性が高いということを、頭に入れておきましょう。新卒採用に特化した採用代行の多くは、月額固定型の料金体系を採用しており、採用支援に徹しています。こうした企業を選ぶことで、採用担当者は法的リスクを気にすることなく、安心して採用活動を委託することができます。
まずか気軽に相談から
採用代行業者の選択に迷ったら、まずは無料相談を利用してみることをお勧めします。相談を通じて、採用代行業者の専門性、透明性、そして信頼性を直接確認することができます。
相談の際に確認すべきは、「採用代行業者が、自社の業務範囲を正確に理解して説明できるか」という点です。優良な採用代行業者であれば、「我々は採用支援に特化しており、有料職業紹介事業の免許は取得していません」と明確に説明できるはずです。このような説明ができる企業は、法令遵守の意識が高く、信頼できる企業である可能性が高いです。
初回ヒアリングで最適な方法を提案してもらうことも、重要なステップです。優良な採用代行業者であれば、単に「我々のサービスを使ってください」と勧めるのではなく、採用企業の採用課題や状況を詳しくヒアリングした上で、「貴社の場合は、このようなアプローチが最適ではないか」と提案するはずです。
自社に合った採用支援方法の提案があるかどうかを、相談の中で確認してみてください。採用代行業者が、採用企業のニーズに真摯に向き合い、カスタマイズされたソリューションを提案できるか、それとも既存のパッケージサービスを一方的に勧めるだけか、という違いは、その企業の信頼性を大きく左右します。
採用活動は、企業の人事戦略の中でも最も重要なプロセスの一つです。その委託先を選ぶ際には、「免許の有無」だけでなく、「企業の透明性」「専門性」「信頼性」という、より本質的な要素を総合的に判断することが大切なのです。
【新卒採用に”学生人事”という選択を】
現役大学生の就活経験を活かし、
採用成功まで伴走型でフルサポートする
新卒採用支援サービス『学生人事』。
これまでにない革新的な視点で、
応募者の増加・内定辞退率の低下・定着率アップ
に大きく貢献します。
新卒採用に関する相談も随時受け付けております。
採用代行の選び方、免許に関する疑問、採用戦略についてなど、
何でもお気軽にご相談ください。
まとめ

採用代行業者を選ぶとき、「この企業は免許を持っているべき?」という疑問は当然です。本記事の要点は以下の通りです。
採用代行業者に免許が必須な場合は、企業が「有料職業紹介事業」に該当する業務、つまり紹介手数料を受け取る仕組みになっているときです。
採用代行業者に免許が不要な場合は、母集団形成支援、コンテンツ制作、インターンシップ企画・運営、内定者フォローなど、純粋な「採用支援」に徹しているときです。重要なのは、「免許の有無」だけでなく、「採用代行業者が具体的に何をしているのか」「業務範囲は透明に説明されているか」「企業の信頼性は高いか」といった、本質的な要素を総合的に判断することです。採用代行業者を選ぶ際には、時間をかけてしっかり確認することが、採用成功への第一歩なのです。