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RPO(採用代行)とは?人材紹介との違いと選び方

採用代行 投稿日: 2025年11月7日

「採用担当が不足していて手が回らない」
「求人を出しても応募が集まらない」
「内定を出しても辞退されてしまう」

こうした採用課題を抱える中小企業が増えています。少子高齢化による人材不足に加え、採用手法の多様化により、自社だけで採用活動を完結させることが難しくなっているためです。

そんな中、採用活動を効率化する手段として注目されているのが「RPO(採用代行)」です。採用業務の一部または全部を外部の専門サービスに委託することで、採用担当者の負担を軽減し、採用活動の質を高めることができます。

本記事では、RPOの基礎知識から人材紹介との違い、具体的な業務内容と費用相場、メリット・デメリットまで、中小企業の採用担当者が知っておくべき情報をわかりやすく解説します。

自社の採用課題に合ったサービスを選ぶための判断材料として、ぜひ最後までお読みください。

RPO(採用代行)とは?【基礎知識】

RPOとは、「Recruitment Process Outsourcing(リクルートメント・プロセス・アウトソーシング)」の略称で、日本語では「採用代行」や「採用アウトソーシング」と呼ばれています。

企業が行う採用業務の一部または全部を、外部の専門サービスに委託することを指します。

具体的には、以下のような業務を外部に委託できます。

  • 採用計画の立案
  • 求人原稿の作成
  • 応募者対応(メール・電話)
  • 面接日程の調整
  • 書類選考のスクリーニング
  • 面接の実施
  • 内定者フォロー

採用のプロフェッショナルが企業に代わってこれらの業務を実施することで、採用活動の効率化と質の向上を図ることができます。

RPOと混同しやすいサービスとの違い

RPOについて調べていると、「人材紹介」「BPO」「委託募集」といった似た言葉が出てきて混乱することがあります。

ここでは、RPOと混同しやすいサービスとの違いを明確に解説します。

RPOと人材紹介の5つの違い

RPOと人材紹介は、どちらも採用を支援するサービスですが、提供内容料金体系が大きく異なります。

まずは比較表で全体像を把握しましょう。

項目RPO(採用代行)人材紹介
提供内容採用業務の代行候補者の紹介
対応範囲採用プロセス全般紹介した候補者のみ
料金体系月額固定型が多い成果報酬型
費用目安月額10万〜80万円年収の30〜35%
契約期間3ヶ月〜1年案件ごと
初期費用発生する場合が多い基本的に0円

それぞれの特徴は以下の通りです。

■ RPO(採用代行)の特徴

  • 採用業務そのものを代行してもらえる
  • 求人原稿作成、応募者対応、面接調整など幅広く対応
  • 複数の採用チャネル(媒体、エージェント)を一括管理できる
  • 月額費用が継続的に発生する

■ 人材紹介の特徴

  • 企業の求める人材を紹介会社が探して紹介する
  • 紹介された候補者以外の対応は含まれない
  • 初期費用0円で、採用決定時のみ費用が発生
  • 1名採用ごとに年収の30〜35%程度の費用

RPOに向いている企業

RPO(採用代行)と人材紹介はそれぞれの特徴があり、その特徴に合わせて向いている企業は異なります。

まず、RPO(採用代行)が向いているのは以下のような特徴を持つ企業です。

RPOが向いている企業
  • 年間10名以上の大量採用を予定している
  • 採用担当者が不在または不足している
  • 複数の採用手段を同時運用したい
  • 採用業務全体を効率化したい

包括的に採用活動を委託したい、という企業は、RPO(採用代行)の方が向いています。

一方で、年間数名(3名ほど)しか採用しない、初期費用を抑えたいという場合は人材紹介の方が向いていると言えます。

RPOとBPOの違い

RPOと似た言葉に、BPOというものがあります。

BPO(Business Process Outsourcing)とは、企業のビジネスプロセス全般を外部委託するサービスの総称です。

  • 経理業務のBPO
  • 人事業務のBPO
  • カスタマーサポートのBPO
  • IT業務のBPO

など、さまざまな業務領域が対象となります。

RPOは、BPOの中でも「採用業務」に特化したサービスという位置づけです。つまり、RPOはBPOの一種と言えます。

RPOと委託募集の違い

委託募集とは、厚生労働省が定める法的な区分で、従業員の募集や選考にかかわるプロセスを外部に委託することを指します。

以下のような業務を外部に委託する場合、厚生労働大臣または都道府県労働局長の許可が必要です。

  • 求人募集の実施
  • 面接の実施と採否の判断
  • 選考プロセス全体の代行

一方、以下のような業務は委託募集に該当せず、許可なしで外部委託できます。

  • 求人原稿の作成
  • 応募者への連絡・対応
  • 面接日程の調整
  • 適性検査の実施

RPOサービスの中には、面接代行や採否判断まで含むものがあります。こうしたサービスを利用する場合、提供事業者が適切な許可を持っているか確認することが重要です。

許可を持たない事業者に委託した場合、法律違反となる可能性があるため、契約前に必ず確認しましょう。

信頼できるRPO事業者を選ぶことで、法的リスクを回避し、安心して採用業務を委託できます。

RPOに依頼できる業務内容

RPOでは、採用活動のほぼ全てのプロセスを委託できます。

具体的には、以下のような業務を委託することができます。

  • 計画立案・母集団形成:採用計画の立案から求人サイトなどを利用した母集団形成
  • 募集要項・求人票の作成:自社の魅力が伝わる求人内容の企画・作成
  • 応募者対応:問い合わせ対応、応募受付、書類選考
  • 面接日程調整:候補者と面接官のスケジュール調整
  • 面接代行・面接官トレーニング:一次面接の実施や、社内面接官への研修
  • 内定者フォロー:内定後の定期連絡、懇親会の企画・運営
  • 採用データの分析・レポート作成:応募数や選考通過率の分析、改善提案

企業の課題や予算に応じて、これらの業務の一部だけを委託することも、採用プロセス全体を任せることも可能です。

予算が少ない場合は、事務的なノンコア業務のみを委託し、採用担当者はコア業務に注力すると言った利用方法から始めると良いでしょう。

RPO(採用代行)の料金体系3パターンと選び方

RPOの料金体系は大きく3つのパターンに分かれます。

自社の採用規模や予算に合わせて最適な料金体系を選ぶことで、費用対効果を高めることができます。

月額固定型

月額固定型は、RPO(採用代行)の中でも最も多い料金体系です。あらかじめ決められた業務内容がパッケージ化されており、毎月一定の料金が発生します。

相場は月額10万円~80万円ほど。業務量が増えても料金が変わらないことが多いです。

メリット

  • 予算管理がしやすい
  •  毎月の費用が明確で経理処理が簡単
  •  業務量が多い月でも追加費用が発生しない

デメリット

  • 採用活動が少ない月も固定費が発生する
  • 最低契約期間が設定されている場合が多い(3ヶ月〜1年)

向いている企業

  • 通年採用を行っている
  • 採用人数が多い(年間10名以上)
  • 予算を明確に決めて管理したい
  • 長期的にRPOを活用したい

従量課金型

メール送信や求人サイト作成など、業務ごとに料金が発生する従量課金型のサービスもあります。必要な時に必要な業務だけ依頼でき、短期間のスポット利用も可能です。

料金例は以下の通りです。

  • スカウトメール配信:1通あたり300円〜2,000円
  • 面接日程調整:1回あたり1,000円〜5,000円
  • 応募者対応:月額2万円〜(応募数50件まで)
  • 面接代行:1回あたり8,000円〜15,000円

メリット

  • 必要な業務だけ依頼できる
  • 採用活動がない月は費用が発生しない
  • 繁忙期のみ利用するなど柔軟な活用ができる

デメリット

  • 業務量が増えると費用が膨らむ
  • 月ごとの費用が変動するため予算管理が難しい

向いている企業

  • 特定の業務だけ外注したい
  • 繁忙期(新卒採用シーズンなど)のみ利用したい
  • 採用活動が不定期
  • まずはお試しで利用したい

成果報酬型

採用が成功した時のみ費用が発生する成果報酬型のサービスもあります。こちらは基本的に初期費用や月額費用が不要です。料金は大体想定年収の20〜35%程度で、例えば年収400万円の人材を採用 した場合、 80万〜140万円の費用がかかることになります。

メリット

  • 初期投資を抑えられる
  • 採用できなければ費用が発生しないためリスクが低い
  • 予算が限られている企業でも利用しやすい

デメリット

  • 1名あたりの採用単価は高め
  • 採用人数が多いと総額が高額になる
  • 対応している事業者が少ない

向いている企業

  • 初期投資を抑えたい
  • 採用人数が少ない(年間1〜3名程度)
  • 確実に成果を出したい
  • リスクを最小限に抑えたい

RPOの導入を検討すべき企業とは?【チェックリスト付き】

さて、ここまでRPOの基礎知識を解説してきました。

では、具体的にどのような企業がRPOの導入を検討すべきなのでしょうか。

以下のチェックリストで、自社がRPO導入に向いているか確認してみましょう。

自社の採用課題をチェック

まずは、以下の項目に当てはまるものをチェックしてください。

【採用体制・リソースに関する課題】
□ 採用担当者が不在、または1名のみで手が回らない
□ 採用担当者が他の業務と兼務していて採用に時間を割けない
□ 採用業務の経験者が社内にいない
□ 採用活動のノウハウがなく、何から始めればいいかわからない

【母集団形成に関する課題】
□ 求人を出しても応募が集まらない
□ 複数の採用チャネル(媒体・人材紹介など)を同時に運用したい
□ スカウトメールを送る時間がない
□ どの求人媒体が効果的かわからない

【オペレーションに関する課題】
□ 応募者への返信が遅れがちで、機会損失が発生している
□ 面接日程の調整に時間がかかっている
□ 応募書類の管理が煩雑になっている
□ 選考状況の把握ができていない

【採用規模に関する課題】
□ 年間10名以上の採用を予定している
□ 事業拡大に伴い、今後採用人数を増やす予定がある
□ 複数拠点で同時に採用活動を行っている

【採用成果に関する課題】
□ 内定辞退率が高い(30%以上)
□ 採用してもすぐに離職してしまう
□ 採用活動が長期化している(3ヶ月以上)
□ 採用コストが年々増加している

それぞれにチェックは付けられましたか?

次に、チェック結果を判定していきましょう。

チェック結果の判定

以下が、チェック結果の判定です。チェックが全体でどのぐらいついたかの個数を数えてみてください。

 5個以上当てはまる場合:RPO導入を積極的に検討すべき

複数の採用課題を抱えており、自社だけで解決するのは困難な状況です。RPOを導入することで、採用活動全体の効率化と質の向上が期待できます。まずは、RPO事業者に相談し、自社の課題に合ったプランを提案してもらいましょう。

3〜4個当てはまる場合:部分的なRPO導入を検討すべき

特定の業務に課題が集中している可能性があります。
全ての業務を委託するのではなく、課題のある業務だけをピンポイントで委託する従量課金型の利用がおすすめです。
【例】
・応募者対応のみ委託
・スカウトメール配信のみ委託
・繁忙期(新卒採用シーズン)のみ委託

2個以下の場合:まずは他の採用手法を検討

現時点では、RPOを導入するほどの課題は顕在化していないかもしれません。
まずは以下のような手法を試してみることをおすすめします。
人材紹介サービス:成果報酬型で初期費用を抑えられる
・採用管理システム(ATS):応募者管理を効率化
・求人媒体の見直し:効果的な媒体への集中投資
ただし、今後採用人数が増える予定がある場合は、早めにRPOの情報収集を始めておくとよいでしょう。

チェックの個数が多ければ多いほど、RPOの導入がおススメです。

特にRPO導入をおすすめしたい3つのケース

チェックリストとは別に、以下のような状況にある企業には、特にRPOの導入をおすすめします。

ケース1:初めて採用活動を行う企業

創業間もない企業や、これまで採用活動をしてこなかった企業の場合、採用のノウハウがゼロの状態です。

RPOを導入することで、採用のプロと一緒に採用活動を立ち上げることができます。

RPOを活用すれば、採用計画の立案からサポートしてもらうことができ、効果的な採用手法の提案や採用活動の基盤構築が可能です。

将来的に内製化を目指す場合でも、まずはRPOで採用の基礎を学ぶことは有効な選択肢です。

ケース2:急な人員増強が必要な企業

事業拡大や新規事業の立ち上げに伴い、短期間で大量採用が必要になった場合、自社の採用担当者だけでは対応しきれません。

RPOを活用することで、即座に採用体制を強化できます。専任チームによる迅速な対応を行うことができ、複数ポジションの同時募集や、対象を全国に広げて採用活動も可能になります。

ケース3:繁忙期だけスポットで支援が欲しい企業

新卒採用のように、特定の時期だけ採用業務が集中する企業もあります。

繁忙期のみRPOを利用することで、通常時の固定費を抑えながら、必要な時だけサポートを受けられます。例えば、2月〜6月の新卒採用シーズンのみの利用や、決算後の中途採用強化期のみ、退職が集中した時期のみなどの利用が可能です。

RPOサービスを選ぶ際の4つのポイント

RPOサービスは数多く存在し、それぞれ強みや特徴が異なります。

自社に合ったRPO事業者を選ぶために、押さえておくべき4つのポイントを解説します。

ポイント1:自社の課題に対応できるか

RPO事業者によって、得意とする業務や専門領域が異なります。

自社の採用課題を明確にした上で、その課題を解決できる事業者を選びましょう。

例えば、母集団形成が課題の場合はスカウト配信や求人原稿作成に強い事業者を、オペレーション負担が課題の場合は、事務代行に特化した事業者を選んでください。

まずは自社の課題を洗い出すことが大切です。

ポイント2:実績と専門性を確認する

RPO事業者を選ぶ際は、過去の支援実績を必ず確認しましょう。

確認すべき実績のポイントは以下の通りです。

  1. 同業種・同規模の支援実績があるか
    自社と近い業種や規模の企業を支援した経験があれば、業界特有の課題や採用市場の動向を理解している可能性が高いです。
  2. 採用ターゲットに対応しているか
    新卒採用、中途採用、アルバイト採用など、自社の採用ターゲットに合った支援実績があるか確認しましょう。
  3. 継続率や満足度
    支援企業のリピート率や継続率が高いことは、サービス品質の高さを示す指標になります。

これらを総合的に評価し、自社に一番合ったものを選びましょう。

ポイント3:料金体系が自社に合っているか

RPOの料金体系は事業者によって大きく異なります。

自社の予算や採用規模に合った料金体系を選びましょう。

中には、月額費用だけでなく、初期費用がかかるものもあります。また、契約期間が最低6ヶ月のものも。オプション料金なども込みで見積もりを依頼しておきましょう。

また、見積もりは全社で同じ期間・同じ業務内容で出してもらうことをおすすめします。

予算が厳しい場合は、スポット的に利用できるサービスや人材紹介の利用も検討してみてください。

ポイント4:コミュニケーション体制が整っているか

RPOを効果的に活用するには、事業者との密なコミュニケーションが欠かせません。

契約前に、以下のポイントを確認しておきましょう。

コミュニケーション体制のチェックポイント

専任担当者がつくか:専任担当者がいることで、自社の状況を深く理解してもらいやすくなります。
定例MTGの頻度:定期的なミーティングで、採用活動の進捗確認や課題の共有を行います。
・緊急時の連絡体制:迅速な対応が求められる採用業務では、連絡手段の柔軟性が重要です。
・レポーティングの内容と頻度:レポートを提示してもらうことで、自社にも採用のノウハウを蓄積できます。

まとめ

RPOは採用業務を包括的にサポートしてくれる便利なサービスですが、月額10万円以上の費用が継続的に発生するため、特に中小企業にとっては導入ハードルが高いのも事実です。

なので、最も重要なのは、自社の採用課題と予算に合わせて最適なサービスを選ぶことです。

「RPOは費用が高くて導入できない」「でも自社だけでは採用がうまくいかない」という中小企業には、成果報酬型の人材紹介サービスという選択肢もあります。

まずは気軽に相談するところから始めてみましょう。