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採用代行(RPO)とは?求人サービスとの違いまで徹底解説

採用代行 投稿日: 2025年11月28日

人材確保の難しさが増す中、採用代行(RPO)など、採用活動に関する外部パートナーの活用を検討する企業が増えています。

しかし、「採用代行」と聞くと、似たサービスである「求人サービス」などとの違いが明確に分からないという方もいらっしゃるのではないでしょうか?

本記事では、採用代行サービスの基本から、他の求人関連サービスとの明確な差異、そして法的観点まで包括的に解説します。

🚩本記事を読むと分かること

  • 採用代行(RPO)に関する基礎知識
  • 採用代行(RPO)と求人関連サービスの違いとは?
  • 採用代行(RPO)の業務委託は違法なのか?

採用代行(RPO)の基礎知識

採用代行(RPO)とは?

採用代行RPO:Recruitment Process Outsourcingとは、企業が実施する採用活動における業務の一部、あるいは全体を外部の専門パートナーに委ねる手法を指します。

求人票の企画から選考フローの管理まで、採用プロセスに関わる幅広い領域をカバーできるのが特徴です。

従来、企業は採用活動を完全に自社内で完結させることが一般的でした。

しかし、採用市場の複雑化や多様な採用手法の登場により、専門性を持つ外部組織の知見を取り入れる動きが加速しています。

特に、採用担当者の人数が限られる企業にとって、プロフェッショナルのサポートを得ることで、効率性と採用品質の両立が実現できます。

採用代行で依頼できる主な業務範囲について

採用代行サービスが対応可能な業務は多岐にわたります。

企業のニーズに応じて、特定の工程のみを部分的に委託することも、採用活動全体を一括して任せることも選択できます。

採用戦略の立案フェーズでは、募集要件の明確化、ターゲット人材の定義、採用チャネルの選定などを支援してもらえます。

自社だけでは気づかなかった採用市場の動向や、効果的なアプローチ方法についてのアドバイスも得られます。

母集団形成の段階では、求人媒体への掲載内容の作成、各種媒体の運用管理、ダイレクトリクルーティングの実施などが含まれます。

応募者の量と質を確保するための具体的な施策を、データに基づいて実行してくれます。

選考運営の領域においては、応募書類の管理と初期スクリーニング、面接スケジュールの調整、選考結果の通知といった実務を代行可能です。

これらの煩雑な業務から解放されることで、採用担当者は候補者との対話や最終判断など、より本質的な業務に注力できるようになります。

内定後のフォローに関しても、内定者への定期的な連絡、入社書類の管理、内定者懇親会の企画運営など、入社までの期間を通じたサポートを提供してくれるサービスもあります。

ただし重要なのは、最終的な採用可否の判断は必ず企業側が行うという原則です。

採用代行はあくまでも業務の遂行を支援する役割であり、採用決定権は委託企業が保持し続けます。

採用代行と求人関連サービスの違い

採用活動を支援するサービスには様々な形態が存在し、それぞれ異なる特性を持っています。

自社のニーズに最適なサービスを選択するために、各サービスの違いを理解しておくことが重要です。

【人材紹介との違い】成果報酬型ではなく「業務委託型」

人材紹介サービスは、企業が求める条件に合致する求職者を探し出し、マッチングを行うビジネスモデルです。

一般的には「登録型」と「サーチ型」があります。

登録型求職者がスキルや条件を登録し、人材紹介外車が求人条件に合った人材を推薦する。
サーチ型スカウトサービス型。企業からの求人条件に対して、求職者を紹介する。

人材紹介では、候補者の探索とマッチングが中心となり、企業側は紹介された候補者と面接を行い、採用可否を判断します。

採用プロセスの運営自体は企業が担当するため、業務負荷の軽減効果は限定的です。

採用代行では、採用プロセス全体の運営を任せられるため、採用担当者の工数を大幅に削減できます。

また、人材紹介は既に転職意欲を持つ候補者との接点が中心となりますが、採用代行では潜在層へのアプローチも含めた多様な採用手法を活用できる点も相違点です。

【人材紹介】料金体系の傾向の違い

料金体系に関して、人材紹介は「成功報酬型」が主流で、採用が決定した時点で初めて費用が発生します。

一般的には採用者の年収の30〜35%程度が紹介手数料として設定されています。

一方、採用代行は業務の遂行そのものに対して対価を支払う形態が一般的です。

採用代行の一般的な料金体系
業務範囲に応じて費用が変わる「月額一律制」と、スカウトメール1通あたりなど、業務量に応じて費用が変わる「従量課金制」が一般的であり、費用体系は多様ですが、採用の成否に関わらず契約した業務範囲に対して料金が発生します。

【求人広告との違い】掲載ではなく「採用プロセス支援」

求人広告サービスは、求人情報を掲載する媒体を提供するビジネスです。

企業は自ら求人原稿を作成し、応募があった後の対応も全て自社で行います。

求人広告はあくまで母集団形成のための「情報発信の場」を提供するものであり、その後の応募者対応、選考管理、内定者フォローなどは全て企業側の責任範囲です。

媒体によっては原稿作成のサポートがありますが、基本的には掲載や運用に特化しています。

費用体系は広告掲載料+手数料が中心になっています。

一方で、採用代行は、採用計画から、面接、応募者対応、選考管理まで、採用プロセス全体をサポートします。

また、求人広告は掲載してからの効果測定が難しく、応募が少ない場合の改善策も企業側で考える必要があります。

採用代行では、応募状況をモニタリングしながら、リアルタイムで施策を改善していくPDCAサイクルを回してくれます。

求人広告サービスは、「応募を集めたい」「母集団形成に課題がある」という企業の方におすすめであり、採用代行サービスは、単なる媒体提供ではなく、採用活動そのものを遂行してほしい企業の方におすすめです。

【人材派遣との違い】人材の提供ではなく「採用活動の代行」

人材派遣は、派遣会社に所属する人材を一定期間、派遣先企業の業務に従事させるサービスです。

雇用契約は派遣会社と派遣スタッフの間に存在し、企業は派遣料金を支払って労働力を確保します。

即戦力を短期間で確保したい場合や、繁忙期の人員補充に有効な手段です。

人材派遣の目的は「人手不足の解消」であり、派遣されたスタッフは企業の指揮命令下で実務を遂行します。

雇用責任は派遣会社が負いますが、日常的な業務指示は受け入れ企業が行います。

契約期間が終了すれば、派遣スタッフは企業から離れることになります。

採用代行は「採用業務の遂行」が目的であり、最終的に自社の正社員として採用するための活動を支援してもらいます。

採用代行スタッフが企業の従業員として働くわけではなく、あくまで採用活動という業務を代行するパートナーという位置づけです。

人材派遣人手不足を一時的に解消したい企業におすすめですが、組織への定着や長期的な育成という観点が希薄になりがちです。

一方で、採用代行を通じて採用した人材は自社の正社員として、組織の中核を担う存在として育成していくことができるため、事業の継続性と組織力の強化という観点では、採用代行を通じた正社員採用の方が長期的な価値を生み出すとも言えます。

採用代行を利用すべき企業の3つの特徴

採用代行サービスは多くの企業にとって有効な選択肢ですが、特に効果を発揮する企業には共通する特徴があります。

自社が以下の特徴に当てはまるかを確認してみましょう!

① 採用担当者のリソースが不足している企業

中小企業では、採用担当者が人事業務全般を兼務しているケースが大半です。

労務管理、研修企画、評価制度の運用など、採用以外にも多くの業務を抱える中で、採用活動に十分な時間を割けない状況が生まれています。

採用担当者が一人しかいない企業では、突発的な業務や他部署のサポート要請により、採用活動が後回しになってしまうことも珍しくありません。

結果として応募者対応が遅れたり、選考スケジュールの調整が滞ったりと、候補者体験の質が低下してしまいます。

採用代行を活用することで、実務的な業務負荷を大幅に軽減できます。

応募者とのやり取り、面接日程の調整、書類の管理といった定型業務を任せることで、採用担当者は候補者との対話や採用戦略の立案など、より付加価値の高い業務に集中できるようになります。

また、採用担当者が急な休暇や異動で不在になった場合でも、採用代行パートナーがいれば採用活動が停滞するリスクを回避できます。

組織の継続性という観点でも、外部パートナーの存在は重要な意味を持ちます。

② 採用ノウハウを社内に蓄積したい企業

採用活動の経験が浅い企業や、これまで採用を積極的に行ってこなかった企業にとって、採用代行は学習の機会にもなります。

様々な採用実績とデータを持っている採用代行企業に依頼し、間近でその業務を見ることで、効果的な採用手法やコミュニケーションの取り方を学ぶことができます。

採用代行サービスの中には、定期的な報告会やミーティングを通じて、採用活動の進捗だけでなく、市場動向や改善提案も共有してくれるものがあります。

これらの情報を自社に取り込むことで、徐々に採用力を高めていくことが可能です。

特に初めて新卒採用に取り組む企業や、新しい職種の採用を始める企業にとって、その分野に精通した採用代行パートナーの存在は心強いものです。

失敗のリスクを抑えながら、新しい採用領域にチャレンジできます。

ただし、全てを丸投げしてしまうと自社にノウハウが残らないリスクもあります。

定期的なコミュニケーションを取り、なぜその施策を選んだのか、どのような効果があったのかを理解する姿勢が重要です。

採用代行をパートナーとして捉え、共に成長していく関係性を築くことが理想的です。

③ 採用数が多く、採用スピードを重視したい企業

事業拡大期にある企業や、新規事業の立ち上げに伴い短期間で多数の人材を確保する必要がある企業にとって、採用代行は強力な武器となります。

複数ポジションでの同時進行や、大量採用における業務量の増加に対し、自社リソースだけでは対応しきれないケースが多いためです。

採用スピードが求められる状況では、選考プロセスの各段階でのタイムロスを最小化することが重要です。

書類選考の遅れ、面接調整の難航、連絡の遅延など、小さな遅延が積み重なると、優秀な候補者を競合他社に奪われてしまいます。

採用代行を活用すれば、複数の選考を並行して進める体制を構築できます。

また、専任のチームが各候補者とのコミュニケーションを密に取り、スムーズな選考進行を代わりに行ってくれるため、候補者を待たせる時間を最小化することができ、内定承諾率の向上にもつながります。

また、採用数が多い場合、選考データの管理も複雑になります。

どの候補者がどの段階にいるのか、誰にどのような連絡をしたのかなど、情報管理の精度が採用成功の鍵を握ります。

採用代行サービスでは、システムを活用した効率的なデータ管理を提供してくれるため、ミスや漏れのリスクを大幅に減らせます。

採用代行を選ぶ前に押さえておくべき3つのチェックポイント

採用代行サービスの導入を検討する際、事前に確認すべき重要なポイントがあります。

これらを押さえることで、自社に最適なパートナーを選択できます。

自社の採用課題と委託範囲を明確にする

採用代行を導入する前に、まず、自社が抱える具体的な課題を洗い出すことが重要です。

応募者の数が足りないのか、選考に時間がかかりすぎているのか、内定辞退率が高いのかなど、課題によって必要な支援内容は大きく変わります。

課題を明確にした上で、どの業務を委託し、どの業務を自社で継続するのかを決定していきましょう。

採用戦略の立案は自社で行い、実務部分のみを委託するのか、戦略立案から一貫して任せるのかなど、委託範囲の設定により、必要な予算や期待できる効果も変わってきます。

また、委託範囲を決める際には、将来的な内製化の可能性も視野に入れておくことが重要です。

いずれは自社だけで採用活動を完結させたいのであれば、ノウハウ移転を重視したサービスを選ぶべきでしょう。

一方、長期的に外部パートナーと協業する想定であれば、より包括的な支援を提供するサービスが適しています。

課題と委託範囲を明確にすることで、採用代行業者との初回ミーティングも有意義なものになります。

具体的な相談内容を持って臨むことで、より的確な提案を受けられます。

費用体系と契約内容を比較する

採用代行の費用体系は多様であり、サービス提供企業によって大きく異なります。

主な費用モデルとしては、「月額一律型」、「従量課金型」、「成果報酬型」、そしてこれらを組み合わせた「ハイブリッド型」などがあります。

月額一律型では、業務範囲に応じて毎月定額を支払います。

予算管理がしやすく、採用活動が活発な時期でも追加費用が発生しない安心感があります

ただし、採用が少ない月でも同額を支払う必要があるため、年間を通じて安定した採用活動を行う企業に適しています。

従量課金型では、実際に発生した業務量に応じて費用が変動します。

応募者数が少ない時期は費用を抑えられる一方、繁忙期には予想以上のコストがかかる可能性があります。

採用活動の波が大きい企業や、まずは小規模から始めたい企業に向いています。

成果報酬型は、採用が成立した時点で費用が発生するモデルです。

リスクを抑えられるメリットがある一方、採用単価が高くなる傾向があります。

また、採用の質よりも量を優先してしまうリスクにも注意が必要です。

契約内容の確認も重要です。

基本料金に含まれる業務範囲、追加料金が発生する条件、最低契約期間、中途解約の条件などを詳細にチェックしましょう。

特に「〜まで含む」という表現ではなく、「何が含まれないのか」を明確にしておくことで、後のトラブルを防げます。

複数の業者から見積もりを取り、費用だけでなくサービス内容も含めて総合的に比較することが賢明です。

安さだけで選ぶと、必要な支援が受けられない可能性があります。

実績・対応業界・支援体制を確認する

採用代行業者を選定する際、過去の実績は重要な判断材料となります。

特に、自社と同じ業界や企業規模での支援経験があるかを確認しましょう。

業界特有の採用課題や、企業規模に応じたアプローチ方法を理解している業者であれば、スムーズな協業が期待できます。

導入事例を確認する際は、具体的な数値データに注目しましょう。

「応募者数が〇%増加」「選考期間が〇日短縮」など、定量的な成果が示されているかがポイントです。

また、単発の成功事例だけでなく、継続利用している企業が多いかも重要な指標です。

支援体制の確認も欠かせません。

専任担当者がつくのか、チーム体制でサポートするのか、連絡手段や対応時間、定期ミーティングの頻度なども事前に確認しておきましょう。

特に、急な相談や変更依頼が発生した際の対応スピードは、採用活動の成否に直結します。

また、採用代行業者の企業文化や価値観が自社とマッチするかも長期的な協業には重要です。

初回の打ち合わせでの対応や提案内容から、パートナーとしての相性を見極めることをお勧めします。


まとめ

採用代行(RPO)は、適切に活用すれば企業の採用力を大きく向上させる有効な手段です。

人材紹介や求人広告、人材派遣とは明確に異なり、採用プロセスそのものを専門家に委託できる点が最大の特徴です。

採用代行が特に効果を発揮するのは、

  • 採用担当者のリソースが不足している企業
  • 採用ノウハウを蓄積したい企業
  • 大量採用やスピード採用を行いたい企業

など、様々です。

自社の状況と課題を見極めた上で、最適なパートナーを選択しましょう。

選定時には、

  • 自社の採用課題と委託範囲の明確化
  • 費用体系と契約内容の比較
  • 実績・対応業界・支援体制の確認

という3つのポイントを押さえることが重要です。

採用代行を戦略的に活用することで、採用活動の質と効率を同時に高めることができます。