近年、人手不足が深刻化する中、採用活動に十分なリソースを割けない企業が増えています。
特に中小企業では、採用担当者が他の業務と兼務しているケースも多く、戦略的な採用活動を展開することが難しい状況です。
そこで注目されているのが「採用代行(RPO)」サービスです。
本記事では、採用代行の基礎知識から大手企業の比較、選定時のポイントまで詳しく解説します。
🚩本記事を読むと分かること
- 採用代行(RPO)に関する基礎知識
- 大手の採用代行(RPO)サービス徹底比較
- 採用代行(RPO)を活用するときに気を付けるべきポイント
採用代行(RPO)とは?

採用代行(RPO:Recruitment Process Outsourcing)とは、企業の採用業務の一部または全部を外部の専門企業に委託するサービスです。
求人票の作成から応募者対応、面接日程の調整、選考管理まで、採用プロセス全般を代行してもらうことができます。
近年、採用市場の競争激化や採用手法の多様化により、専門知識を持つプロフェッショナルに業務を任せる企業が増えています。
特に、採用担当者が限られている中小企業にとって、採用代行は効率的に質の高い採用活動を実現する有効な手段となっています。
採用代行サービスの業務範囲は企業によって異なりますが、一般的には以下のような業務が含まれます。
求人媒体の選定と求人票作成、応募者管理とスクリーニング、面接日程の調整、選考結果の通知、内定者フォローなどです。
企業のニーズに応じて、一部の業務のみを委託することも、採用プロセス全体を任せることも可能です。
採用代行と人材紹介/派遣の違い
採用代行は、人材紹介や人材派遣サービスと間違われることが多いですが、人材紹介や人材派遣とは異なるサービスです。
人材紹介は、企業が求める人材を紹介会社が探してマッチングするサービスです。
人材紹介は、成功報酬型が一般的であり、紹介した人材の採用が決定した時点で紹介手数料(理論年収の30〜40%(+消費税)が相場)が発生するしくみになっています。
自社にマッチしそうな人材を紹介してもらえたり、急ぎの採用にも対応してもらえたりなどのメリットがありますが、採用プロセス自体は企業側で行う必要があり、業務負担の軽減効果は限定的です。
一方、採用代行は採用業務そのものをアウトソースするため、業務負担を大幅に削減できます。
また、人材派遣は、派遣会社の従業員を一定期間自社に派遣してもらうサービスです。
雇用関係は派遣会社と派遣スタッフの間にあり、企業は派遣料金を支払います。
即戦力を短期間で確保したい場合に有効ですが、長期的な自社の人材育成にはつながりません。
採用代行では、自社の正社員として採用するための支援を受けるため、組織の中核となる人材を獲得できます。
このように、採用代行は「採用業務の代行」に特化しており、最終的な採用判断は企業側が行います。
自社の採用基準を維持しながら、専門的なノウハウと工数を外部リソースで補完できる点が最大の特徴です。
採用代行 大手企業の比較ポイント

採用代行サービスを提供する企業は数多く存在しますが、大手企業を選ぶ際にはいくつかの重要な比較ポイントがあります。
自社のニーズに合ったサービスを選ぶために、以下の3つの観点から比較検討することが重要です。
支援実績・導入企業数・信頼性をチェック
大手採用代行企業を選ぶ最大のポイントは、豊富な支援実績に裏打ちされた信頼性です。
これまでにどのような業界・規模の企業を支援してきたのか、具体的な導入事例を確認しましょう。
特に重要なのは、自社と同じ業界や企業規模での実績があるかどうかです。
大手企業の採用支援実績は豊富でも、中小企業特有の課題に対応した経験が少ない場合もあります。事例紹介やケーススタディを通じて、自社の状況に近い企業での成功例があるかを確認することが重要です。
また、導入企業数の多さは、サービスの安定性と継続性を示す指標にもなります。多くの企業が継続利用しているということは、それだけサービス品質が高く、満足度が高い証拠と言えるでしょう。
業務範囲の広さ
採用代行サービスがカバーする業務範囲は、企業によって大きく異なります。
自社が抱える課題や委託したい業務内容を明確にした上で、それに対応できるサービスを選ぶことが重要です。
基本的な業務範囲としては、求人票作成、求人媒体への掲載、応募者対応、書類選考、面接日程調整などが挙げられます。
しかし、より戦略的な支援を求める場合は、採用戦略の立案、採用ブランディング、採用マーケティング、データ分析とレポーティングまで対応できる企業を選ぶべきでしょう。
大手企業の中には、単なる業務代行にとどまらず、採用コンサルティング的な役割を果たしてくれるサービスもあります。
自社の採用課題を分析し、改善提案をしてくれるパートナーとしての機能を持つかどうかも、重要な比較ポイントです。
費用体系・契約条件の透明性
採用代行サービスの費用体系は、大きく分けて「月額一律料金型」「従量課金型」「成果報酬型」の3つがあります。それぞれにメリット・デメリットがあるため、自社の採用計画と予算に合わせて選択する必要があります。
月額一律料金型は、毎月一定の金額を支払う方式で、採用人数や業務量に関わらず費用が固定されるため予算管理がしやすいというメリットがあります。
一般的な相場は、採用業務の一部のみを依頼する場合、月額10万円〜、採用業務全般を依頼する場合は、月額40万円~が相場であり、業務範囲によって変動します。
新卒採用では、約10~70万円が目安となると言われています。
従量課金型は、依頼した業務量に応じて費用が変動する方式です。
業務ごとに料金が決まっているため、特定の採用プロセスに課題がある場合は、最適なコストで問題解決につながるというメリットがあります。
しかし、部分最適になってしまうこともあり、採用活動の全体を俯瞰して依頼内容を決める必要があります。
スカウトメール1通単位や、面接実施、広報記事作成など業務によって料金が変わります。
成果報酬型は、応募数や採用数などの成果に応じて費用が発生するようなシステムです。少ないリスクで導入できますが、採用人数などによって料金に変動があります。
いずれの費用体系を選ぶ場合も、契約条件の透明性が重要です。
最低契約期間、解約条件、追加費用の発生条件など、細かい部分まで事前に確認しておきましょう。
おすすめ大手採用代行サービス企業3選

採用代行市場には多くの採用代行企業が存在しますが、ここでは、特に実績と信頼性の高い大手企業3社をご紹介します。
リクルートスタッフィング:圧倒的な導入実績とスケール力
リクルートスタッフィングが提供する採用代行サービスは、国内最大級の導入実績を誇ります。
定量的なレポーティングによる持続的な生産性の改善と、変化する目標に対応する柔軟な体制設計と採用繁忙に応じた人員配置が強みです。
また、採用後の入社手続きや入社式などの事務業務などにも幅広く対応しているため、一般的な採用代行の範囲を超え、入社後までワンストップでの対応が可能な点が強みになっています。
また、新卒からキャリア採用、アルバイトやパートまで対応可能で、プランも要望に合わせて様々なものが用意されています。
企業が抱えている課題に合わせて支援を受ける業務を変えることができます。
出典:RECRUIT リクルートスタッフィング 「採用アウトソーシング」
パーソルキャリア:運用力と戦略設計のバランス重視型
パーソルキャリア株式会社の採用代行サービスは、dodaブランドで知られる同社が提供する包括的な採用支援です。
運用面での確実性と、戦略設計能力のバランスに優れているのが特徴です。
パーソルキャリアRPOサービスのポリシーは「再現性のある採用活動」です。
豊富な事例とデータ、転職サービスdodaで培った知見を活かして、効果的な採用チャネルの選定や、選考プロセスの改善提案を行います。
KPI設定から効果測定まで、PDCAサイクルを回しながら採用活動の質を高めていくスタイルは、中長期的に採用力を強化したい企業に適しています。
また、決められた形ではなく、企業の課題に合わせた支援を「つながる採用」をモットーとして継続的に行っています。
業務範囲の柔軟性も高く、必要な部分だけを委託するスタイルにも対応しています。
neocareer:中小企業にも強みを持つ柔軟な支援体制
neocareerは、採用企画や採用戦略の立案から依頼ができ、チーム体制を採用しているため、支援のクオリティが保たれているところが魅力です。
また、限られた予算の中で最大限の効果を出すための提案力に定評があります!
neocareerは、企業規模や業種を問わず幅広い実績があり、支援事例が豊富です。
常駐型支援など質の高いサポート体制が用意されており、必要最小限の業務委託から始められる柔軟性があります。
出典:neocareer ネオキャリアの採用代行サービス(RPO)
「大手採用代行」を活用するメリット

大手の採用代行サービスを活用することで、企業は様々なメリットを享受できます。
特に、採用リソースが限られている中小企業にとって、これらのメリットは大きな価値があると言えるでしょう。
メリット(1): 専門ノウハウ
大手採用代行企業は、多数の企業支援を通じて蓄積された専門的なノウハウを持っています。
採用市場のトレンド、効果的な求人票の書き方、候補者の見極め方など、採用活動のあらゆる側面において専門知識を活用できます。
特に重要なのは、業界特有の採用ノウハウです。
IT業界とサービス業では、求められる人材像も採用アプローチも大きく異なります。
大手企業は様々な業界での支援経験があるため、自社の業界特性を理解した上での提案が期待できます。
また、最新の採用トレンドや手法についても常にアップデートされているため、大手採用代行サービスを利用することで、時代に合った採用活動を展開できます。
メリット(2): 運用力
大手採用代行企業は、安定した運用体制を持っています。
応募者対応の迅速性、選考プロセスの管理精度、トラブル発生時の対応力など、日々の採用業務を円滑に進めるための仕組みが整っています。
特に、複数ポジションでの同時採用や、採用人数が多い場合には、この運用力が大きな差を生みます。
応募者データの管理、面接スケジュールの調整、選考状況のレポーティングなど、煩雑な業務を正確かつスピーディーに処理してくれます。
これにより、採用担当者は戦略立案や最終面接など、より重要な業務に集中できるようになります。
メリット(3): 規模の安心感
大手企業ならではの信頼性と安定性も重要なメリットです。
長年の事業継続実績があり、突然サービスが終了するリスクが低いため、長期的な採用パートナーとして安心して任せられます。
また、組織規模が大きいため、担当者の異動や退職による業務の停滞リスクも低くなります。
チーム体制でサポートしてくれるため、常に一定のサービス品質が保たれます。
さらに、大手企業は様々な採用ツールやシステムとの連携実績も豊富で、既存の採用管理システムとのスムーズな統合も期待できます。
「大手採用代行」を活用する時に注意すべきポイント

大手採用代行サービスには多くのメリットがある一方で、いくつかの注意点も存在します。
導入前にこれらのポイントを理解しておくことが重要です。
注意点(1): 自社ノウハウの蓄積が進まない可能性
採用業務を全面的に外部委託すると、自社内に採用ノウハウが蓄積されにくくなるというデメリットがあります。
特に採用担当者が代行会社に全てを任せきりになってしまうと、将来的に困難が生じる可能性があります。
この問題を回避するためには、定期的なミーティングや報告会を通じて、採用活動の状況や課題を共有してもらう仕組みを作ることが重要です。
また、重要な意思決定プロセスには必ず関与し、なぜその判断をしたのかを理解するよう心がけましょう。
代行会社はパートナーとして活用しつつ、自社の採用力も並行して育てていく姿勢が求められます。
注意点(2): コスト負担増の可能性
大手採用代行サービスは、その品質とサービス範囲の広さゆえに、費用が高額になる傾向があります。
特に中小企業にとっては、採用代行の費用が経営を圧迫する要因となる可能性もあります。
月額一律料金型の場合、採用が少ない月でも一定の費用が発生し続けます。
また、当初想定していなかった追加業務が発生した場合、別途費用が請求されることもあります。
契約時には、基本料金に含まれる業務範囲と、追加料金が発生する条件を明確にしておくことが重要です。
費用対効果を定期的に検証し、本当に必要なサービスなのかを見極める姿勢も大切です。
大手採用代行サービスを選ぶ際に必ず確認したい3つの基準

大手採用代行サービスを選定する際には、以下の3つの基準を必ず確認しましょう。
これらのポイントを押さえることで、自社に最適なパートナーを見つけることができます。
自社の採用課題に合致しているか
まず重要なのは、自社が抱える具体的な採用課題を明確にすることです。
応募者数が足りないのか、選考に時間がかかりすぎているのか、内定辞退率が高いのかなど、課題によって必要なサービス内容は大きく異なります。
大手採用代行企業は総合的なサービスを提供していますが、それぞれに得意分野があります。
自社の課題と、各社の強みが合致しているかを慎重に見極めましょう。
また、複数社の提案を比較し、自社の状況を最も理解してくれている企業を選ぶことが成功の鍵となります。
実績として”中小企業対応”の事例があるか
大手採用代行企業の多くは、大企業向けのサービス提供をメインとしています。
しかし、大企業と中小企業では、採用課題の性質が大きく異なります。
中小企業特有の「限られた予算」「知名度の低さ」「少人数での採用活動」といった制約条件の中で、実績を出せる企業を選ぶ必要があります。
事例紹介や導入実績を確認する際は、自社と同規模の企業での成功事例があるかをチェックしましょう。
また、中小企業向けの柔軟なプランやサービスメニューが用意されているかも重要なポイントです。
画一的なパッケージではなく、自社の状況に応じたカスタマイズが可能かどうかも確認しておきましょう。
契約後の情報共有・KPI管理体制が整っているか
採用代行サービスを活用する上で、委託先との密なコミュニケーションは不可欠です。
定期的なレポーティングや、リアルタイムでの情報共有体制が整っているかを確認しましょう。
具体的には、どのような頻度でミーティングが設定されるのか、採用状況のレポートはどのような形式で提供されるのか、急な相談や変更依頼にはどう対応してくれるのかといった点を事前に確認しておくことが重要です。
また、KPI(重要業績評価指標)の設定と定期的な効果測定の仕組みがあるかも確認しましょう。
データに基づいた改善提案をしてくれる企業であれば、継続的な採用力向上が期待できます。
まとめ
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採用代行サービス、特に、大手企業が提供するサービスは、豊富な実績と専門ノウハウを活かした質の高い採用支援を提供してくれます。
採用代行大手各社は、それぞれ独自の強みを持っており、企業の状況に応じて最適なパートナーを選ぶことが重要です。
選定の際には、支援実績、業務範囲、費用体系の3つの観点から比較検討し、自社の採用課題に合致したサービスを選びましょう。
特に、中小企業の場合は、中小企業対応の実績があるか、柔軟なカスタマイズが可能かといった点を重視する必要があります。
一方で、大手採用代行サービスは費用面でのハードルが高く、自社ノウハウの蓄積が進みにくいというデメリットもあります。
自社の予算や将来的な内製化の可能性も考慮しながら、最適な採用支援の形を模索することが大切です。
採用活動は企業の成長を左右する重要な活動です。
外部パートナーを上手に活用しながら、自社に最適な採用体制を構築していきましょう!