採用代行や業務委託は違法になる場合がある…。そんな噂を聞いたことはありませんか?
実際、職業安定法では「委託募集」や「職業紹介」にあたる業務には許可が必要です。
本記事では、採用代行の合法・違法ラインをわかりやすく整理し、申請手順や安全な業者の見分け方まで、学生目線で解説します。
採用代行(RPO)サービスとは?

採用代行(RPO:Recruitment Process Outsourcing)は、企業の採用業務の一部または全部を外部専門業者に委託する仕組みです。
ここでは、採用代行(RPO)の定義から形態、類似サービスとの違い、普及の背景を解説します。
採用代行(RPO)の定義
採用代行(RPO)は、採用活動に関わる業務を専門事業者が代行・支援するサービスです。
企業は求人票作成や母集団形成、面接調整など、時間や人手のかかる業務を外注することで、採用効率を高めることができます。
採用代行(RPO)は単なる業務委託ではなく、「採用戦略設計~実務運用」までを包括的に支援する点が特徴です。
特に中小企業では、社内リソースが限られる中で専門的ノウハウを活用できるため導入が進んでいます。
採用代行の主な形態
採用代行は、大きく「フルプロセス型」と「部分代行型」に分かれます。
フルプロセス型は、求人設計から内定出しまでを包括的に支援する形態で、採用全体の最適化が目的です。
一方、部分代行型は、特定フェーズ(例:スカウト配信や面接調整)のみを外注する方式で、社内体制や課題に応じた柔軟な活用が可能です。
また、最近ではAIやCRMを組み合わせた「ハイブリッド型RPO」も登場し、データ活用による精度の高い採用活動が注目されています。
採用代行と人材紹介・派遣の違い
採用代行(RPO)は、企業の「採用活動そのもの」を支援する点で、人材紹介や人材派遣とは異なります。
人材紹介は求職者を企業に紹介し、採用が成立した時点で報酬が発生しますが、採用代行(RPO)は業務委託契約であり成果報酬ではありません。
また、人材派遣は労働者を派遣先企業で就労させるものであり、採用活動そのものを代行するわけではありません。
採用代行(RPO)は「採用業務のアウトソーシング」に特化した手法であり、法的な位置づけや契約形態も異なります。
採用代行が増えている背景
採用代行が拡大している背景には、慢性的な人手不足と採用業務の複雑化があります。
特に中小企業では、採用担当者が人事・総務などと兼務しているケースが多く、効率化ニーズが高まっています。
また、採用チャネルの多様化(SNS・ダイレクトリクルーティングなど)により、専門知識を持つ外部パートナーの必要性も増しています。
こうした流れの中で、採用代行(RPO)は「戦略的採用支援」として企業競争力の一部を担う存在となっています。
採用代行は違法なのか?

採用代行は、一定の法令や要件を満たしていれば合法です。
ただし、規定を逸脱した場合は「職業安定法」などに抵触する可能性があり、無許可の人材紹介行為とみなされることもあります。
規定を満たしていれば違法ではない — 合法ラインの要点
採用代行業務が合法となるためには、「職業紹介に該当しない範囲で行うこと」が前提です。
たとえば、求人票作成、面接日程調整、応募者管理といった“採用事務”の範囲にとどまる場合は問題ありません。
逆に、応募者への労働条件提示や内定交渉などを代行すると「職業紹介」に該当する可能性があります。
業務委託契約の際は、委託内容を明確に区分し、求職者への直接的な接触を避けることが重要です。
規定に満たない場合は違法に — よくある問題点
違法と判断されるケースの多くは、「採用代行の名目で職業紹介行為を行っている」場合です。
たとえば、採用代行業者が候補者を自らスカウト・推薦し、採用決定に関与する場合、職業紹介事業許可が必要です。
また、無許可の委託募集や、報酬体系が成功報酬型になっている場合も、職安法に抵触するリスクがあります。
業務委託契約であっても、実態が紹介や募集に当たる場合は違法とされるため、契約内容と実務の整合性を常に確認することが求められます。
採用代行(RPO)と「委託募集」の関係性(何が該当するか)

採用代行の中には、法律上「委託募集」に該当するケースがあります。
ここでは、どのような業務が該当するかを整理します。
採用代行が「委託募集」に該当する場合
委託募集とは、求人者から委託を受け、労働者を募集・選考する行為を指します。
採用代行の中でも、求人広告の掲載や応募者への案内・連絡を代行する場合は、この委託募集に該当する可能性があります。
委託募集を行うには、労働局長または厚生労働大臣への届出・許可が必要です。違法とならないためには、委託募集の範囲を正確に理解し、適切な許認可を取得することが不可欠です。
採用代行が委託募集に該当しない場合
採用戦略立案や広報施策の企画、面接調整、応募管理などの「事務代行」業務は、委託募集には該当しません。
これらは求人者の指示に基づく業務支援であり、求職者とのマッチングを行うものではないため、法的には職業紹介・委託募集の範囲外です。
ただし、実務上は業務の線引きが曖昧になりがちであり、採用代行側が求職者に直接アプローチを行う場合は「紹介的行為」と判断される恐れがあります。
委託募集に該当する場合は届出や許可が必要になる点
委託募集に該当する場合、労働局長または厚生労働大臣への届出が必要です。
届出を行わずに委託募集業務を実施すると、職業安定法第47条違反に該当し、行政指導や業務停止命令を受ける可能性があります。
届出の要否は、業務内容や契約形態によって異なるため、業務開始前に法的専門家や労働局へ確認することが望ましいです。
委託募集の許認可を取る流れ(STEP形式で手順を説明)

委託募集を行う際には、法律に基づく手続きが必要です。
ここでは、申請から許可取得までの流れをステップ形式で整理します。
STEP①|委託募集許可等申請書を用意(必要書類の一覧)
委託募集の許可申請では、まず「委託募集許可等申請書」を作成します。
添付書類としては、主に以下が必要です。
- 登記簿謄本
- 定款
- 事業計画書
- 役員名簿
- 事務所の所在地を示す書類(賃貸契約書など)
さらに、委託募集を行う責任者の経歴書や、反社会的勢力との関係がない旨の誓約書なども求められる場合があります。
申請書類は細部まで整備し、実際の業務内容と齟齬がないように記載することが重要です。提出前には、事前相談で不備の有無を確認するのが望ましいでしょう。
STEP②|提出先が厚生労働省か労働局長かを確認(ケース別)
委託募集の申請先は、募集の範囲によって異なります。
全国的な規模で事業を行う場合は厚生労働大臣が許可権者となり、地域限定であれば所轄の都道府県労働局長が窓口です。
エリアを明確に区分することで、提出先を誤らず効率的に進められます。
また、申請は原則として書面提出ですが、一部地域では電子申請システムを利用できるケースもあります。
事前に提出先へ確認し、最新の手続き要領を入手することが確実です。
STEP③|提出期限や様式の確認(電子申請可否など)
申請書提出のタイミングは、委託募集業務を開始する前が原則です。
業務開始後に申請する場合、無許可状態とみなされる可能性があるため注意が必要です。
また、申請様式は各労働局で指定があり、最新版をダウンロードして使用します。
電子申請が認められている地域では、手続きの効率化が図れますが、添付書類のスキャンデータの形式やファイル容量制限にも留意する必要があります。
期限・様式の確認は、申請準備の初期段階で必ず行いましょう。
STEP④|許可基準・審査のポイント(よく落ちる理由と対策)
許可審査では、企業の経営体制、法令遵守体制、財務健全性などが総合的にチェックされます。
特に注意すべきは以下のような点です。
- 反社会的勢力との関係がないこと
- 過去に職業紹介や募集で法令違反を起こしていないこと
- 事務所の独立性・常設性が確保されていること
審査で不備が多いのは、申請内容と実際の業務が一致していないケースや、責任者の経歴証明不足などです。
事前に専門家(社労士・行政書士)に相談し、必要書類を精査することで、審査通過率を高められます。
委託可能な業務と法的要件(具体的業務ごとの線引き)

採用代行で委託可能な範囲は、法令上明確に区分されています。
ここでは、許可が不要な業務と必要な業務を整理し、判断のポイントを解説します。
許可が不要な業務
採用戦略立案・採用広報・イベント企画・書類選考代行・適性検査・オンボーディング支援などの業務は「採用事務支援」にあたり、職業紹介や委託募集には該当しません。
たとえば、採用戦略の設計、求人票の文面作成、採用イベントの運営、応募者情報の管理、適性検査の運用などは、企業の内部業務の代行として位置づけられます。
また、内定後のオンボーディング支援も、雇用契約の成立後のプロセスであるため、職安法上の規制対象外です。
こうした範囲を正しく理解することで、リスクを回避しつつ、効率的な外部委託が実現できます。
許可が必要な業務
求人情報の掲載・候補者への直接接触・面接での労働条件提示や内定交渉・人材紹介などの業務は、職業安定法に基づく「募集」または「紹介」に該当するため、許可が必要です。
特に、候補者へのスカウトメール送信や、面接における条件提示・交渉を代行する行為は、実質的に職業紹介とみなされるおそれがあります。
また、求人情報を代理で掲載する場合も、委託募集と解釈されることがあるため、慎重な判断が必要です。
許可を得ずにこうした業務を行うと、行政指導や罰則の対象となる可能性があるため、契約段階で範囲を明確にしておくことが重要です。
判定のポイント(実務での判断基準)
実務上、委託可能か否かを判断する際は、「求職者と直接的な関係を持つかどうか」が最大の基準になります。
企業側の業務支援にとどまる場合は合法ですが、候補者と接触し、選考や条件交渉に関与する場合は、職業紹介や委託募集の範囲に入ります。
また、報酬形態が成果報酬型になっている場合も“紹介的要素”とみなされるため注意が必要です。
契約書には「業務範囲」「責任分界点」「成果指標」を明記し、法的リスクを未然に防ぐことが求められます。
採用代行を利用する際の違法リスクと実例

採用代行サービスを利用する際には、法令違反のリスクを十分に理解しておく必要があります。
以下では、実際に問題となった主な違反類型を整理します。
労働基準法違反(虚偽求人・長時間拘束など)
採用代行業務を通じて虚偽の求人情報を掲載したり、応募者を過度に拘束した場合、労働基準法や職業安定法に違反する恐れがあります。
特に「実際の労働条件と異なる内容を提示する」「面接や説明会で長時間拘束し、退去を妨げる」といった行為は、企業側にも責任が及ぶ可能性があります。
また、採用代行会社に依頼している場合でも、委託元が監督義務を怠ったと判断されれば行政指導の対象となります。
依頼先の広告・運用内容を定期的に確認することが、リスク防止の第一歩です。
個人情報保護法違反(応募者データの漏洩や目的外利用)
採用活動では多くの個人情報を取り扱うため、情報管理の不備は重大なリスクとなります。
採用代行業者が応募者データを無断で他社に共有したり、目的外で利用した場合、個人情報保護法違反に問われる可能性があります。
また、クラウド管理の不備やアクセス権限の設定ミスによる漏洩も多く報告されています。
委託契約を結ぶ際には、個人情報の取扱い範囲や管理体制、事故発生時の報告義務を明確に定めることが不可欠です。
委託元も共同利用者としての責任を負う点を理解しておく必要があります。
無許可委託募集による行政指導・業務停止命令の事例
厚生労働省は、無許可で委託募集を行った事業者に対して行政処分を行うことがあります。
過去の事例では、採用代行業者が「募集代行」と称して応募者への接触や選考を代行し、結果的に職業紹介とみなされ業務停止命令を受けたケースが存在します。
こうした処分は委託元企業にも波及し、採用活動の停止や企業イメージの毀損につながることがあります。
委託先の許認可状況を確認すること、そして自社でも法的基準を理解しておくことが、企業の信頼を守るための基本です。
違法リスクを回避するためのポイント

採用代行を安全に活用するためには、法的リスクを把握したうえで、信頼できる業者選定と社内体制の整備を行うことが重要です。
信頼できる採用代行業者を選定する(許可確認・実績・評判)
最も基本的かつ重要なのが、委託先の「適法性と信頼性」の確認です。
職業紹介や委託募集の許可を正式に得ているかどうかを、厚生労働省の公表データベースで確認できます。
また、過去の実績や取引企業の評判も参考になります。担当者が法令や採用実務に精通しているか、契約内容を明確に説明できるかも判断基準の一つです。
契約締結前には、必ず業務範囲・責任範囲・報酬体系を文書で明確にし、不明点を残さないようにしましょう。
法的専門家を活用する(弁護士・社労士・専門機関)
採用代行業務の内容が法的にグレーな場合や、委託募集・職業紹介の該当性に疑問がある場合は、専門家に相談することが有効です。
弁護士や社会保険労務士は、職安法や労働関係法規に基づいた判断を行い、契約書の適法性を確認できます。また、労働局や公共職業安定所でも、相談窓口を設けています。
自社だけで判断せず、第三者の専門的視点を入れることで、法的リスクを未然に防ぐことができます。
社内教育を徹底する(法令理解・リスクマネジメント)
採用代行を利用する際は、社内の採用担当者が法令を理解していることも欠かせません。
特に、委託業務の範囲や求職者対応に関するルールを共有し、全社員に遵守を徹底する必要があります。採用担当者向けのコンプライアンス研修を定期的に実施し、違法行為の兆候を早期に発見できる体制を整えることが重要です。
また、社内で業務委託のチェックリストを運用し、契約・運用・報告の各フェーズでリスク確認を行うことが推奨されます。
採用代行に関するよくある質問(FAQ)

採用代行の合法性に関して、企業から寄せられる代表的な疑問をQ&A形式で整理します。
採用代行は違法なの?
採用代行は、法令を遵守して運営されていれば合法です。
違法となるのは、職業紹介事業や委託募集に該当する業務を、許可なしで行う場合です。求人設計や面接調整、データ管理などの「採用支援業務」に限定していれば問題ありません。
重要なのは、契約時に業務範囲を正確に区分し、求職者と直接的な交渉を行わないようにすることです。
採用代行依頼時に抵触する可能性のある法律は?
主に「職業安定法」「労働基準法」「個人情報保護法」などが関係します。
職業安定法は、無許可での職業紹介・委託募集を禁止しており、労働基準法は虚偽求人や不当な労働条件提示を規制しています。
また、応募者情報の管理を誤ると、個人情報保護法違反に該当します。
委託契約を締結する際は、これらの法律を前提とした業務区分を行うことが不可欠です。
採用代行が違法となるケースって?
採用代行が求職者へ直接連絡を取ったり、労働条件交渉を代行した場合、職業紹介に該当して違法となることがあります。
また、成果報酬型の契約で採用決定に応じて報酬を支払う場合も、紹介業に近いとみなされるリスクがあります。
違法行為とならないためには、委託業務の範囲を明文化し、業務実態を常に見直すことが重要です。
依頼主が処罰されることはあるの?
委託先が違法行為を行った場合でも、委託元が監督義務を怠ったと判断されれば行政指導や処分の対象になる可能性があります。
特に、違法行為を黙認していた場合や、契約内容に明らかな法令違反がある場合は、企業側の責任も問われます。
委託前に許可の有無を確認し、業務の適法性を社内でチェックする体制を整えましょう。
委託先が違法業者だとわかったら?
まず、速やかに契約を停止し、被害や影響の範囲を確認します。そのうえで、労働局や専門家に相談し、再発防止策を講じることが重要です。
万が一、応募者データの不正利用や虚偽募集があった場合は、法的措置を検討する必要があります。
事後対応を適切に行うことで、自社の信頼低下を最小限に抑えることができます。
採用代行会社の見極めチェックリスト

採用代行を選ぶ際は、法的要件を満たしているかを確認することが前提です。
以下のポイントをチェックしておくと安心です。
職業紹介事業許可の有無
人材紹介や候補者への接触を行う場合は、職業紹介事業許可が必須です。
許可を持たない事業者が紹介的業務を行っていないか、契約前に確認しましょう。許可番号や有効期間は、厚生労働省の「職業紹介事業者一覧」で公表されています。
委託募集許可の有無
求人広告掲載や応募者対応を代行する場合は、委託募集の届出が必要です。
委託募集許可を得ているかを確認し、無届け業者との取引は避けましょう。許可書の提示を求めることも有効です。
実績・専門性・対応範囲の確認
業種・職種ごとの実績や、対応可能な採用フェーズを確認します。
特に中小企業向けの支援実績や、法令遵守に関する知見を持っているかが重要です。具体的な成功事例を聞くと、信頼性を判断しやすくなります。
契約内容・個人情報管理体制の明確化
契約書には、業務範囲・報酬体系・個人情報の管理方法を明記します。
応募者データの保管・削除ルールや再委託の有無なども確認しましょう。個人情報保護方針(プライバシーポリシー)を公開しているかも重要なチェック項目です。
まとめ

採用代行(RPO)は、採用効率を高める有用な手段ですが、法的な理解なしに利用するとリスクを伴います。
特に「職業紹介」「委託募集」との線引きを誤ると、違法行為とみなされる恐れがあります。
合法的に運用するためには、業務範囲の明確化、許可確認、契約内容の透明化が不可欠です。
信頼できるパートナーを選び、社内でも法令遵守の体制を整えることで、採用活動を安心・安全に進めることができます。